■30代後半女性が直面する、働き方と自分らしさの両立への葛藤
現在、渚さんは39歳。誠子さんは35歳です。必ずしも年齢で人生が区切られるわけではありませんが、女性のキャリア面談などをしていると、30代後半~40代前半頃になると、経験のある人ほど仕事に対する向き合い方を一旦考え直し、中にはキャリアを踏まえた転職を変える人がいます。
なぜこの年代かというと、1つは30代後半という年齢が、体力や健康面の変化も相まって、40代を見据えて働き方や生き方を整え治そうという発想にいきつきやすいからです。
アラフォーという年代は、20代で出産をした人であれば、子供が受験に差し掛かる時期。30代で出産した人は、ちょうど子育てに寄り添いながらの働き方を模索する時期でしょう。独身者やDINKSといった子を持たない人生を歩む女性の、スキルの面で円熟味を感じ、働き方について考える時期です。
話を戻すと、渚さんと誠子さんはまさにこの世代に当てはまるだけでなく、コンビとしても活動が17年。関西でのブレイク後上京してからも約7年が経っており、若手の域は脱しているかと思います。
近年は活動方針の違いもありましたし、尼神インターらしい容姿いじりなども、ルッキズムの影響で難しくなっていました。コンビを開店休業状態にしてそれぞれ活動をしていたわけですが、40代を前に中途半端は卒業し、「自分の働き方を作り直す」と決めても、別におかしいとは思いません。
現在はお笑いに限らず、流行の流れがとてつもなく早くなっています。昨年ブレイクした芸人さんが、気づけばテレビで見かけないといったことはよくあります。尼神インターの解散を受け、ある芸人さんが東京で活動することの競争率の高さについて言及しているのを見かけましたが、東京に限らず、現在はエンターテインメント自体の競争率や消化スピードが早まりすぎているのかもしれません。
そんな激流から、ある意味尼神インターは降りた形となるわけですが、一般的に「新しいモノは、スペースを空けたら入ってくる」なんて言います。解散し作られた2人の空きは、どんなモノで埋まっていくのか、それが誠子さんの言う「自分らしさ」であることを、祈っています。
(文:おおしまりえ)