【土用丑の日】絶滅寸前のうなぎを食べるのは悪? 消費者に求められる“危機意識”
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■“安く食べる”ことは日本の食文化の衰退にもつながる

 

うなぎを“安く食べる”ことは天然資源の枯渇だけでなく、日本の食文化の衰退にもつながるという。山路氏は、「万葉集」に収められているひとつの歌を挙げた。

 

《石麻呂に 吾れもの申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻とり食せ》

 

「これは奈良時代に大伴家持が詠った歌です。“夏場の疲れには滋養のあるうなぎを食べると良いですよ”という意味ですが、1300年も前から食べられてきたことがわかります。これほど長い歴史のあるうなぎの食文化を、安さや手軽さで絶やして良いのかということです」

 

うなぎ専門店が築いてきた“歴史”へのリスペクトも重要だと説く。

 

「古くから『串打ち3年、裂き8年、焼き一生』と言われるように、うなぎは職人技で焼くものとされてきました。スーパーや牛丼チェーン店などで出せるようになったのは技術革新があったからで、少なくとも職人が何百人もいるという訳ではありませんよね。そう考えると、同じ蒲焼きでも別物なんです。食文化の側面で見れば、うなぎ専門店が減ると焼く技術を持つ職人も減るということです」

 

伝統的な食文化を守るためにも、消費者1人1人の意識がより一層大切となる。その心がけについて、山路氏はこう提唱する。

 

「もちろんうなぎが絶滅危惧種であると認識することも大切ですが、千年以上も続く日本の食文化が危機に瀕している自覚も持った方が良いと思います。つまるところ、『安く食べたい』って自分の都合ですよね。そうではなく、やはり『大事に食べましょう』ということです。

 

そうすると食べる回数を減らすことになりますが、その時にどういう物を食べるかが重要だと思います。やはり、これまで培われてきた職人技術を継承するという意味においても、私はうなぎ専門店で食べることをお勧めしたいです」

 

ただし、“うなぎ論争”のように「倫理観では天然資源を保護することはできない」とも指摘する。

 

「『うなぎを食べるのは悪』と言ってしまったら、“人間の業の世界”に入ってしまうと思います。人間に限らずですが、生物は他の生物の命をいただいて生きていくわけじゃないですか。『うなぎを食べるのは悪』という考えを拡大解釈していくと、何にも食べられなくなってしまいます」

 

ニホンウナギを利用する日本・中国・韓国・台湾の4カ国は’14年に共同声明を出し、養殖池に入れるシラスウナギの量を’14年漁期の数量(21.7トン)から20%削減する国際的な資源管理を続けている。しかし、このような対策だけでは十分とは言えないようだ。

 

「やはり、環境省や水産庁などが漁獲量の制限や消費量をコントロールするなどしない限り、根本的には解決しないと思います。例えば、『これ以上はシラスウナギを獲ってはいけない』と具体的に明示することで、うなぎ専門店だけでなくスーパーやチェーン店などにもバランスを考慮して配分することができるのではないでしょうか」

 

日本の食文化の観点においても危機に瀕しているうなぎ。後世に残すためにも、できることがきっとあるはずだ。

出典元:

WEB女性自身

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