「観光ペナント、ちょうちん、通行手形は、はやったのも廃れたものほぼ同時期です。いずれも最盛期は’70年代。ターゲットは主に修学旅行に来た男子学生たちでしょう。全国の観光地の地名が入った同じ形状のおみやげは、コレクター気質をかきたて、コンプリートを目指して、多くの少年たちが収集に熱中したものでした」

 

こう語るのは、千葉県・国立歴史民俗博物館に勤務する川村清志さん。現在、国立歴史民俗博物館では日本独自のおみやげ文化について、資料約1,300点を展示し、おみやげの変遷や背景をたどる企画展示「ニッポンおみやげ博物誌」(9月17日まで)が開催中。そんな、おみやげにまつわるトリビアを川村さんが教えてくれた。

 

■「みやげ」の由来は、宮笥(みやげ・みやこけ)と呼ばれた神社などの配りもの!?

寺社仏閣を参詣した証拠の品として、神札などの授かりものを故郷に持ち帰るのが、おみやげの原初的な形態。伊勢神宮で購入された神札「神宮大麻」もおみやげの元祖のひとつ!?

 

■江戸時代、参勤交代による人とものの移動で、おみやげ文化が花開いた!?

江戸文化に触発された武士たちが故郷に買って帰るものの代表格は、かんざし、錦絵、たばこ入れや鏡入れ、農事暦(農業カレンダー)、お茶など、重くない、かさばらない、日持ちするものが基本。

 

■庶民も旅を楽しむようになった江戸時代、人気みやげは薬だった!?

江戸時代、旅の道中の宿場町や神社仏閣の周辺で作られる名薬が、故郷の人々に喜ばれたという。特に現存する有名な薬は、伊勢の萬金丹、小田原の外郎薬、奈良の陀羅尼助丸や三光丸など。

 

■各地域の名物がおみやげ化したのは、明治時代の鉄道網の発達がきっかけ!?

現地でしか食べられなかった「名物」が、鉄道により家まで持ち帰れるように。有名な景勝地が国宝や国立公園に指定され、観光地がブランド化、絵はがきや観光チラシなども作られた。

 

■高度経済成長期には、新たなみやげが多く生まれた!?

修学旅行や社員旅行、さらに家族旅行などの少数で行く旅行を楽しむ人が急増。旅の思い出として郷土玩具や観光ペナントなどが人気に。現在人気のご当地名菓も次々と販売スタート。

 

現在ではすっかり見かけなくなった昭和みやげも、実は意外な形で生き残っている。

 

「最近の人気みやげは、マグネットとクリアファイル。実は今、ペナント型や通行手形型のマグネットがたくさん売られているんです。昭和みやげはコンセプトやデザインが新しい人気みやげに引き継がれているんですよ。実用的なクリアファイルは、江戸時代からのおみやげの基本『重くなく、かさばらず、日持ちのするもの』と同じ概念。今後、おみやげは基本に戻っていくのかもしれませんね」(川村さん)

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