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ヤマト運輸は6月1日から、宅急便について、今日出した荷物が明後日届く「翌々日到着」エリアを増やすと発表しました。

 

たとえば、東京から各都道府県庁所在地に荷物を送る場合、翌々日到着エリアは現在、北海道や広島、山口と九州地方の11市あります。さらに6月からは岡山、島根、鳥取と四国地方が加わり、合計18市に増え、今後も定期的に配達スケジュールを見直す方針だといいます。

 

また日本郵便は、’21年10月に郵便物の配送日数を見直しました。荷物を送るゆうパックは翌日到着のエリアを残し、今も土日・祝日の配達を行っていますが、普通郵便やゆうメールなどは最短で2日かかりますし、土日・祝日は配達していません。

 

荷物や郵便物の到着が遅くなる背景には、物流の「2024年問題」があります。もともと物流業界は賃金が安く慢性的な人手不足。少ないトラック運転手が長時間働いて物流を維持している状態です。

 

今でさえギリギリなところに、’24年4月からは働き方改革関連法が施行され、トラック運転手の時間外労働は年間960時間までに制限されます。運転手不足に残業規制が重なり、物流が立ち行かないと大問題になっているのです。さらに、道路の老朽化による速度規制や、道路の補修工事などによる渋滞の発生が増えていることも、原因のひとつのようです。

 

野村総合研究所の試算によると、’25年には全国の荷物の約28%が、’30年には約35%が運べなくなるといいます(’23年1月)。

 

■私たちもドライバーに気遣いして節約を

 

トラック運転手の働き方改革は大切です。長時間労働は運転手自身の健康も、安全な運行にも支障をきたすでしょう。ですが、低賃金だから長時間労働するしかなかったことを考えると、残業規制と合わせて賃金アップが必要ではないでしょうか。残業規制だけではトラック運転手を辞める方が増え、運転手不足に拍車がかかると思います。

 

コロナ禍でネット通販を使う機会が増え、とても便利になりました。ただ「今日出せば、明日には届く」宅配便は、当たり前ではないことを改めて考えたいと思います。

 

宅配便ドライバーを苦しめる再配達を避けるため、荷物が届く時間には在宅を心がけ、難しい場合は置き配を利用しましょう。

 

また、集荷を依頼せず、コンビニなどに荷物を持ち込めば、配送料の割引があります。ヤマト運輸の宅急便なら「持込割」が一般100円、クロネコメンバーズに登録した方は150円引きです。日本郵便のゆうパックなら「持込割引」は120円。同じ宛先に2個以上の荷物を同時に送る場合は「複数口割引」で1個60円引きになります。

 

割引で私たちも少しお得になり、宅配便ドライバーの負担も少し軽減できるwin-winの行動を、増やしていきたいと思います。

経済ジャーナリスト

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