昨年、大河ドラマ『軍師官兵衛』の姫路ロケが始まる前日、主演の岡田准一(33)は“兵庫で愛される名優にあやかりたい”という思いで朝来市まで足を延ばし、「志村喬記念館」を訪れたという。
そして今回、本誌の撮影で、再びこの地にやってきた岡田は、自身を「志村喬さんの“生きた”話を知ることができる最後の世代」であると続ける。志村喬と仕事をしたスタッフたちから彼がどれだけ偉大で、どれほど多くの人に慕われていたか、という話をよく耳にしたのだという。
「一緒に仕事をされていた方たちは、志村さんのことを『おじさん』と呼んで、とても慕っていたそうです。そのなかでも、黒澤明監督は『おじさんに迷惑がかからないようにしろ!』と、すごく気をつかって大切にされていたと聞きました。俳優として、人間として、憧れる部分がたくさんあります」(岡田・以下同)
岡田自身、大河ドラマの主演をやるにあたって、一緒に仕事をする人たちに仲間として認めてもらうこと、多くの人に愛される役者の在り方を考えているという。また、志村喬は、映画『七人の侍』(黒澤明監督)で、仲間に慕われるキレものの軍師・島田勘兵衛を演じており、黒田官兵衛を演じる岡田とも通じるところも。
「昔は、画面が粗かったから、メークで表情を作ったりして、時代劇をギラギラした派手なものにすることができたようなんです。いまはそれができないけど、作品への心の在り方、志村さんら名優の伝説とか、当時の熱いものを語り継いでいきたいし、僕も、大河に生かしていきたい。こうして、近くで感じることができた、志村喬さんにあやかりたいと思っています」
1月12日に、姫路市内で行われた「ひめじの黒田官兵衛 大河ドラマ館」オープニング記念式典では、出席した“岡田官兵衛”を一目見ようと、1万人のファンが集った。
「うれしいですよね。昨年、撮影で来たときとは全然違う。居酒屋にふらっと入って食事もしたし、夜はトレーニングのために走っていました。電車に乗って御着城址(ごちゃくじょうし)にも。おじいさんが、『官兵衛殿~!』って叫んでくれましたけど、町を歩けないような状態ではなかった。その土地に愛されることが大河のテーマでもあるので、地元の人たちの応援はすごく力になります」