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(写真・神奈川新聞社)

利用者11人が死亡した川崎市川崎区日進町の簡易宿泊所の火災で、原因調査を続けてきた市消防局が、出火原因は放火だったとする報告をまとめることが1日までに分かった。

火災は2015年5月17日に発生。火元とみられる「吉田屋」と隣接する「よしの」の木造3階建て2棟延べ約千平方メートルが全焼し、11人が死亡、17人が重軽傷を負った。

関係者によると、消防は火元とみられる吉田屋の玄関付近に火の気がないことや、付近からガソリンのような成分が確認されたことなどから、放火という結論に至ったという。市消防局は本年度中に報告をまとめるとしている。

吉田屋は建築物の要件を満たないまま3階構造で営業。よしのも同様に事実上3階建てだった。死者の大半が2階以上に泊まっていたとされ、違法構造が火の回りを早くさせたとみられている。

その後の市の調査で、市内にあるほかの簡宿49棟のうち32棟が吉田屋と似た3層構造で、24棟が建築基準法違反と断定され、簡宿が火災に対して脆弱(ぜいじゃく)なままに放置されている状況が浮き彫りとなった。市は各施設に是正勧告を出したが、採算性の問題などから現在も対策は進んでいない。

入居者の多くが高齢の生活保護受給者で、家賃滞納や孤独死を懸念されアパートへの転居が困難となっている現状を踏まえ、厚生労働省は受給者を受け入れる住宅確保や転居後の見守りなどに取り組む自治体への補助拡充を検討している。

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