(写真・神奈川新聞社)
相模原市緑区千木良の障害者施設「県立津久井やまゆり園」で19人が殺害された事件で、殺人容疑で送検された元施設職員の容疑者(26)が、措置入院中の2月に「ヒトラー思想が2週間前に降りてきた」と話していたことが28日、分かった。捜査本部によると、同容疑者宅の捜索で、植物片のようなものが付着したビニール袋を押収したことも判明。県警は違法薬物の可能性もあるとみて調べるとともに、障害者に強い殺意を抱いた経緯について引き続き解明を進めている。
ナチス・ドイツは障害者を「生きるに値しない生命」と呼び、組織的に殺害したことで知られる。相模原市によると、措置入院となった翌日の2月20日、病院の医療関係者に「ヒトラー思想が2週間前に降りてきた」と発言。ただ、「ヒトラー思想」の具体的な内容は話さなかったという。
捜査関係者によると、27日に実施した同容疑者宅の捜索で、植物片のようなものが付着したビニール袋は1階居間のテーブルに置かれていた。付着物は0.005グラムとごく少量。黄色っぽく変色し、古くなっていた。
また、同容疑者は大麻使用に関する任意の採尿を拒否していたが、強制採尿の手続きを取ったところ、採尿に応じたという。措置入院中の尿検査では大麻の陽性反応が出ており、県警は事件当時も大麻や違法な薬物などを使用していた可能性もあるとみて慎重に調べる。
一方、捜査関係者や県によると、同容疑者は「敷地には裏口から入った」と供述。女性が入所する東棟1階の窓ガラスをハンマーで割って侵入し、この部屋の入居者(19)を殺害したとされる。
施設には当時、夜勤職員が8人いたが、このうち5人を結束バンドで縛っていた。うち1人が無料通信アプリ「LINE(ライン)」で非番の職員に「早く来て、やばい」と連絡し、受け取った職員が午前2時38分に最初の110番通報をした。他の3人は別の棟にいるなどして無事だった。
県警は28日までに、犠牲者19人全員の司法解剖を終えた。17人が首を切られたり刺されたりしたことによる失血死と判明、残る2人は腹と背中を刺されたことが致命傷となった。全員の上半身に複数の刺し傷があり、県警は明確な殺意があったとみている。
26日未明の事件では、職員2人を含む26人も重軽傷を負った。