(写真・神奈川新聞社)
JR南武線の混雑緩和を目指し、川崎市は来月16日から同線を利用する市職員の時差勤務を試行する。沿線では相次ぐマンション開発などで住民が増え続けており、朝の通勤時の混雑が問題となっている。市は効果を検証した上で制度化を図り、沿線企業にもオフピーク通勤の普及を働き掛けたい考えだ。
同線は立川駅(東京都立川市)と川崎駅(神奈川県川崎市川崎区)を結び、武蔵中原駅から武蔵小杉駅の間(午前7時半~午前8時半)が最も混雑している。
混雑率は幅の広い新型車両の導入などでピーク時の2014年度の195%からやや改善したものの、それでも16年度で188%と高い値となっている。
時差勤務の試行は11月16日から30日までの平日10日間。最混雑区間の両駅区間を利用し、「平日午前8時半~午後5時15分」に勤務している職員約1,600人を対象とする。
混雑時間帯を避け、勤務時間を1時間早めるか、遅らせるか、生活や職場の業務に支障がない範囲で選べるようにする。試行後は通常通り出勤した職員も含めてヒアリングする。効果などを検証し、時差勤務の制度化を検討する。
市交通政策室は「現状でも混雑を避けて早めに出勤する職員もいる。時差勤務で終業時刻を早められれば、夕方からさまざまな活動に充てる『ゆう活(かつ)』も可能となり、働き方改革にもつながる」とみる。
市は抜本的な輸送力増強のため、JR東日本に車両の長編成化を働き掛けており、国の交通政策審議会答申にも位置づけられている。ただ、ホームの改良や沿線自治体と協調する必要もあるため、かなりの時間を要するとみられている。
同室は「まず市としてオフピーク通勤に自ら取り組み、その効果も示し、沿線や臨海部の企業に普及を呼び掛けたい」としている。