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(写真・神奈川新聞社)

 

県立こども医療センター(横浜市南区)は14日、食物アレルギー治療を継続中の子どもの患者が、一時心肺停止となる事案が発生したと明らかにした。牛乳を飲んだ直後に救急搬送され、現在も低酸素性脳症で治療を続けているという。

 

同病院によると、同患者は今年、入院して牛乳1ミリリットルから始める臨床研究の「急速経口免疫療法」を受診。少しずつ量を増やして135ミリリットルの摂取が可能となり、22日目の退院後も1日につき1回、同量を飲み続けていた。ところが退院から約3カ月後、自宅で牛乳を飲んだ直後に苦しさを訴えて心肺停止となった。ぜんそくの持病があり、心肺停止となる2日前も発作があったという。

 

同病院は原因について、「牛乳アレルギーの反応性に何らかの変化が起こり、急激に症状が誘発されたと考える」と説明。町田治郎病院長をトップとする倫理委員会で詳細を調べている。また、治療の新たな患者受け入れを中止するとともに、同じ治療を受けている県内外の約200人に対して緊急時の対応方法などを文書で注意喚起した。同療法は研究段階で未解明の部分が多く、同病院は2014年に導入していた。

 

報告を受けた日本小児アレルギー学会は、同治療に関する8千件近くの症例を15年に調べたところ「アナフィラキシーなど即時型症状は多く確認されたが、低酸素脳症のような重篤な有害事象の報告は今回が初めて」と説明。全国の約340医療機関を対象に緊急調査を実施し、重篤なケースがあれば情報を共有して安全性に関する今後の研究に役立てるとしている。

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