(写真・神奈川新聞)
訪問販売を巡るトラブルから消費者を守ろうと、黒岩祐治知事は22日、県内8事業者団体とともに「悪質な訪問販売撲滅!かながわ宣言」を発表した。高齢者を中心に被害が絶えない現状を踏まえ、適正な勧誘に取り組む事業者を核に業界全体の自主規制を促すのが狙い。県消費生活条例改正による規制強化を見送った「代替措置」で、悪質業者に対する実効性の確保が課題だ。
業界側の宣言は「法令を順守し適正な勧誘に取り組む」とした上で、「自主行動基準を定め、販売員を指導・教育する」「消費生活センターと連携して苦情に対応する」-といった内容。県は自主的な取り組みの支援や消費者教育の推進、不当勧誘業者に対する指導などを表明した。
また県は、高齢者が悪質勧誘に気付き、契約を踏みとどまるよう呼び掛けるシール6万枚を作製。住宅の玄関などに貼って「不用意にドアを開けない」「断るときは『お引き取りください!』」などと注意喚起する。県内各署の署員による戸別訪問などで配布するとしている。
訪問販売を巡っては、県内の消費生活センターに年間7千件近い苦情や相談が寄せられるなど被害は後を絶たない。県は昨秋、県消費生活審議会の答申を踏まえ、「訪問販売お断り」の貼り紙がある世帯への訪問販売を禁止し違反行為に行政指導を科す条例改正を検討。県民意見でも賛成が7割に達したが、知事は「悪質業者を締め出すために全部の訪問販売を一律規制することは、必ずしも最善の解決策とは言えない」などとして見直しを見送り、「撲滅宣言」で被害軽減を図る意向を示していた。
県内の消費者団体などは、条例が「骨抜き」になったと指摘し、規定の新設を求める要望活動を続けている。一方、「訪問購入」など新手の手口に対する規制を加えた条例改正案は23日の県議会で可決され、7月1日に施行される見通しだ。