(写真 神奈川新聞)
全国シェア1位を誇る食用八重桜の産地・秦野市で収穫が早くもピークを迎えている。ここ数日の暖かさで開花が一気に進み、例年より1週間以上、早く満開に。収穫は花が散るまでの短期決戦だけに、応援の摘み手は不可欠。急な開花に農家は助っ人確保に苦労している。
縁起物とされ、桜湯や桜あんぱん、和菓子などさまざまな料理に使われる八重桜。市内には千村地区を中心に江戸時代から栽培が始まり、約2500本の八重桜が植栽されている。
◆全国シェアの7~8割
農家の小野孝允さん(72)は「日曜日にはまだつぼみだったのに。例年は4月の10日過ぎ。こんなに早いのは人生で初めてだ」と驚く。4日現在でピンク色の花は既に満開となり一部、葉ものぞいている。高さ8メートルほどの脚立に上り、手作業で花を摘み取っていく。
摘み手は農家のほか、応援の地元の主婦や定年退職者ら。中には会社を休んで来る人もいるため、事前に依頼する必要があるが、小野さんは「今年はいきなりの開花に、『急に仕事は休めない』などと都合がつかない人もいる」と話す。
花は塩漬けに加工後、全国に出荷され、年間出荷量は15~20トンで全国シェアの7~8割を占める。今年の塩漬けは7月ごろに店頭に並ぶ。
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