(写真・琉球新報社)
夜空に輝く星々に魅せられて、もう50年になる。沖縄星空の会の岸博美代表(65)=沖縄市古謝=は、中学生の時に初めて望遠鏡で月を見て以来、宇宙ロマンのとりこに。2009年からは星の見方や星座の由来などを解説する「星空案内人」も務める。
今は毎月1回、古謝のつかざん集会所で「こども宇宙教室」を開く。参加料は「知りたい情報は無料ではいけない」と1人10円。「星空観賞は心の癒やしになる。ふとした時に、空を見上げてほしい」と魅力を伝える。
「月を見るのは肉眼がいい。大きさがよく分かる」。1年のうち、月が最も大きく見える「スーパームーン」が夜空に輝いた14日午後6時すぎ、沖縄市の新夢咲公園。岸さんはうれしそうにそう話した後、望遠鏡をのぞいたり、カメラで接写したりして月に夢中になっていた。
中学3年の時、星が好きだったという両親から望遠鏡をプレゼントされ、初めて間近で月を見た。「あの時は満月ではなく、半月だった。半月だと切れ目に陰影ができて、クレーターなどの模様がきれいに見える。それを見て『すごい』と思った」。未知の世界に心を奪われた。
神戸市出身。土木業の技術職として県内外で勤めた。沖縄に移住したのは36年前。理由は「沖縄は星と海がきれいだから」。岸さんによると、県内は気流が安定していることや、街灯の少なさなどから、星がよく見えるという。
「こども宇宙教室」は毎月第2土曜の午後4時から。晴天時は午後8時ごろから、望遠鏡を使った星空観察もする。その他、県内各地の学校や老人会などで星空を解説する。
8日に沖縄市老人クラブ連合会の勉強会に招かれた岸さんは「シークヮーサー座でも石敢當座でも何でもいい。自分の星座を作るのも一興だ」とユニークな楽しみ方も解説。「宇宙に思いをはせ、ロマンを求めて、自分の物語をつくってほしい」と笑顔で語った。
(長嶺真輝)