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竹人形70体によるエイサー隊(写真・琉球新報社)

 

背丈10~12センチの小さなエイサー隊に、沖縄市の伝統が詰まっている-。北谷竹細工(沖縄市八重島)の代表で、竹細工職人としては県内唯一の認定工芸士である津嘉山寛喜さん(67)が手掛けるエイサー竹人形。熟練の技術で人間のしなやかな動きを巧みに表現し、衣装には国指定伝統工芸品の知花花織を用いる。構想から10年目にして人形70体で作るエイサー隊の展示物を完成させ、エイサーのPRを目的に年内にもホテルへのリースを始める。

 

竹人形は沖縄市が「エイサーの街」を宣言した2007年に構想を始めた。5年前に完成し、一時期は土産品店などに流通していた。しかし籠や飾り物など、注文品を製作する日常の仕事に追われ、なかなか継続して製造、販売ができなかった。時間をかけて展開方法を練り上げ、近くリースを中心に流通させる運びとなった。

 

ダイナミックな手足の動きは、太さ1~2.5ミリの竹をあぶるなどして曲線を作り表現。頭部やなびく髪の毛には、ごつごつとした竹の節目を活用した。展示物では、自ら製作した大太鼓の面の上に人形70体を設置し、大きさで男女も区別する。一体ごとに体勢も異なる。完成度や独自性が評価され、昨年12月に沖縄市の地域ブランド「コザスター」に認定された。

 

津嘉山さんは祖父・寛亀さん、父・寛有さんと受け継がれてきた竹細工工房の3代目。1989年に北谷竹細工を設立して以来、従来の生活用品のほか、ヤジロベーや昆虫の飾り物など新たな商品開発も続ける。

 

中の町青年会の音声に合わせ、エイサー竹人形が踊る9分間のDVDも作った。年内に工房2階で小さな博物館を開く準備も進めるという。

 

津嘉山さんは「私が目指すのは、時代に合わせた商品作りだ。竹人形を見た子どもたちが、エイサーを好きになってくれたらうれしい」と満面の笑みを見せた。

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