Neil Young オフィシャルサイトより
「以前は毎日ラテを頼んでいたけれど、昨日の一杯が最後となった」
ニール・ヤング(69)は、スターバックスコーヒーに通うことをきっぱり辞めたそうだ。その理由は、バイオ化学メーカー大手の「モンサント」がバーモント州に対して起こしたある訴訟にスターバックスが関与している疑惑が持ち上がったからであると自身のウェブサイトで説明している。
今年5月、バーモント州では遺伝子組み換え作物を使った食品に表示を義務づける法案が成立した。日本では既に義務化されて久しいが、米国ではこれが初の事例となる。2016年7月に施行が予定されているが、食品業界からの反発の声は大きく、4つの団体がラベル表示の中止を求めて同州を告訴した。その中でひときわ強い存在感を放っているのが、遺伝子組み換え作物で世界シェア90%を誇るモンサントであり、今や世界各国に膨大な数の店舗を持つスターバックスコーヒーなのだ。
「モンサントは、我々が何を思おうと意に介さないだろう。しかし、市民と顔を合わせて商売をするスターバックスは違う。もし、我々が十分な注意喚起をすることができたなら、スターバックスに訴訟を取り下げさせ、他の会社に対しても同様の働きかけを促すことができると思う。スターバックスがLGBT(セクシャルマイノリティ)や労働問題に関して貫いてきたスタンスを僕は称賛してきた。しかし、今回モンサントという巨悪と協力していることがわかり、落胆を禁じ得ない」とヤングは強い言葉で食品業界のエゴを糾弾している。署名サイトSum Of Usには訴訟を止めることを求めて32万件を超える署名が集まっており、50万件に達したところでスターバックスに提出される見込みだ。
そして、ヤングは政治団体や業界団体の根強い反対を押し切り、遺伝子組み換え食品のラベル表示を米国で初めて義務づけたバーモント州の英断を支持することを表明。「他の州がバーモントに倣うためにも、バーモントが断固とした姿勢を取り続けることが重要だ」として、訴訟に対して抗戦する構えを見せている。
スターバックスはこの告発に対し、「報道はまったくの虚偽である」との声明を発表。訴訟の原告に名を連ねているわけでもなければ、資金提供も行っておらず、モンサントとも一切関係がないと断言した。しかし、遺伝子組み換え作物に対する立場は明らかにしていない。