マニュエル・マクロン候補(右)とブリジット・トロニュー夫人
(写真:Best Image/アフロ)
23日、フランス大統領選挙の第1回投票が行われ、極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン(48)氏と、中道・独立系のエマニュエル・マクロン前経済相(39)が決選投票へ駒を進めた。マクロン氏が当選した場合、近代フランス史上最年少の大統領が誕生することになるが、妻であるブリジットさんは、夫の25歳上の64歳なのである。2人の馴れ初めを追った。
マクロン氏は15歳のとき、通っていた学校で国語教師のブリジット・オジエールさんに出会った。当時40歳のブリジットさんには夫と3人の子どもがいたが、マクロン氏は熱烈なアプローチを開始。17歳のときに「あなたが何をしようと、僕はあなたと結婚する!」と宣言したという。マクロン氏の両親は、「少なくとも18歳までは、息子と距離を置いてくれ」とブリジットさんに懇願し、2人を引き離そうと息子を遠くへ引っ越させもしたが、功を奏することなかった。18歳から交際をスタートさせた2人は、ブリジットさんの離婚後の2007年に結婚した。しかし、ブリジットさんは夫の姓ではなく、旧姓のトロニューを名乗っている。
ブリジットさんと前夫との間には3人の子どもがいたことは前述したとおりだが、末娘のティファニー・オジエールさん(30)は、マクロン氏の選挙戦に弁護士として参加している。ケベック・テレグラム紙によると、先週、対立候補のポスターが損壊されたことが報じられたときに謝罪会見を行った人物がこのティファニーさんだったという。
ブリジットさんには既に7人の孫がいる。義理の祖父という立場にあるマクロン氏は、BMFTVのインタビューで、自らの子どもを持つことはない、と明言している。「この選択は、年齢差から言って当然の帰結だと思う。僕には生物学的な子どもも孫も必要ない」と断言したが、この風変わりな夫婦のあり方に「ゲイ疑惑」が持ち上がったこともある。今年2月にラジオ・フランスのCEO、マシュー・ギャレ氏との同性愛が報道されたが、「もし僕がギャレさんとの二重生活を送っているとしたら、きっと僕のホログラムが逃げ出したんだろうね」とジョークで一笑に付している。
マクロン氏は妻を表舞台に立たせ、夫婦二人三脚の選挙戦を展開している。演説では「もし、私が選ばれたなら……いや、失礼、私たちが選ばれたなら、彼女は役割と居場所を得て僕の側にいてくれるでしょう」と発言するなど、彼女の存在感は増すばかりだ。ブルームバーグによると、「私は、彼女に多大なる恩があるのです。彼女は私が私であることを助けてくれた」とも語っており、当選した暁には妻が政権で大きな力を持つことが予想される。