第1回 渾身のNEWアルバム『愛と悲しみのバラッド』を12月2日リリース!
――ついに、バラッドのタイトルがついたNEWアルバムですね。
泉谷しげる(以下、泉谷) そうですね。意識的に、バラッドシリーズは何年に一度は作りたくなるものの一つなので。今回はいろんな、まあ、愛情の問題ですのでね。どうしてもやっておかなきゃっていうのがあったんです。そのことについて、直接的に、愛がどうだとか、そういうことを別に歌うというよりは、感じてくれればいいということなんだけど。やっぱり愛情が希薄じゃないかなと思うんですよ、今ね。どう愛情を持っていいのかわからない時代って言ったらいいのか。生産性が本当は必要なのに。愛と生産っていうと、なんか非常に相反する物だろうけど。セックス産業の愛の生産はいくらでもあるんだけども、ねえ。日常の中での生産性というものが非常に希薄になってて、やっぱり優しさとか、愛情っていうのは、意識しなければ、これ、できないもので。今日優しくなろうと思わなければ、ねえ、無理なものだしね。
――はい。
泉谷 愛情もなんとか、自分を愛し、人も愛せたらいいなって思わないと、これは無理な話で。
――ええ。
泉谷 ねえ。待ってくれないじゃないですか。来てくれないものだからね。
――はい。
泉谷 だからそういう生産性の意識を持ってもらいたいかなっていう。優しくしてるとか、いい人でいられるっていうのは、もっともっと評価しなければいけないことで、本当は心の中ではドロドロしていてもね。
――ええ。
泉谷 優しくしてられる人っていうのは、相当こう…。
――そうですね。
泉谷 相当頑張ってるわけでしょ。
――はい。
泉谷 いい人だって、一面識で騙されたりなあ。(笑)バカにされたりさあ。ねえ。本当は暗部を持ってる方が人間的に深いかのような。ねえ。
――とらわれがちな。
泉谷 そうそう。捉えがちですよね。悩んでるから格好良いみたいな。
――はい。
泉谷 ねえ。だから、みんな、なんか互いに虐め合ってるところがちょっとあって、なんか見え方が恥ずかしいのか、どうなのか。そうじゃなくて、もうちょっとみんなの思ってる部分をもっと評価しないといけないんじゃないのかっていう。それも愛情の持ち方ですよね。
――はいはい。
泉谷 だから婚活なんて見てると、愛って言葉は出てこないでしょ。
――(笑)
泉谷 如何なもんかと。(笑)男がっかりしちゃうじゃない。あれ。
――がっかりしますよね。
泉谷 がっかりするよ。お前、何だ?俺は、条件か?こら!みたいなね。
――ええ。
泉谷 バカ野郎でしょ。
――本当そうなんですよね。
泉谷 自分はやっぱり男の都合でしか、こういう曲作れないんで、男の見方でありたいんで、だから女はふざけるな、この野郎!というつもりでね。まあ、ちょっと女性層、もう女性層ちょっと来い!って、去年から言ってるのは、ちょっと文句言いたい。
――はい。
泉谷 お前、何だと思ってるんだ!野郎を、と(笑)。なんだと思ってるんだ?消耗品なのか、このやろうみたいな。
――本当にそういう時代なんですよね。
泉谷 ねえ。(笑)何だと思ってるんだ!この野郎と。
――なんかそれを逆手にとったような事件が随分あったじゃないですか。
泉谷 そうですね。
――三十四歳、婚活詐欺みたいな。
泉谷 そうです。
――男もこんなにあっけなく騙されてしまう。
泉谷 やっぱりそれは、女性を獲得する勇気の無さから来る。自分が愛そうではなくって、愛されなかったらどうしようでしょ。
――時代がそうさせたんですかね。
泉谷 いや、俺、根っこの部分は時代のせいではないと思うんですよね。不注意だと思うんです。
――そうですね。
泉谷 単なる不注意だと思う。自分の有り様のやっぱり人を見抜けない、やっぱり不注意だと思いますね。だからやっぱり愛情というものは、獲得するには、まず一回喧嘩しないと無理な話で、お互いに汚いところも出し合わないと、これは。だから綺麗事を言ってるのは危ないぞと思ってくれないと。
――写真見てみますと……彼女たちは。難しいですよね。
泉谷 いやあ、やっぱり見た目は好みの問題。やっぱ、男はね、笑顔とね、料理が作れたら、ころっといっちゃうんですよ。
――そうですね。
泉谷 でしょ。まあ、料理と笑顔ですかね。だいたい男の求めるのはそこでしょ。
――はい。
泉谷 ねえ。うん。だから、そこらへんのところの根源的なところだなと、俺、思うんですよ。時代というよりは、根源的なところをついてるからなんですよ。
――はい。
泉谷 うん、そう。