’82年に日本デビューし、『釜山港へ帰れ』の大ヒットで日本中の老若男女にその名と歌を知られた、元祖韓流スター。それは『冬のソナタ』日本公開の20年以上前になる。そのチョー・ヨンピルがニューアルバムを日本で発売。15年ぶりの来日コンサートを満員の観客の中で終えた。
「テレビには出演しませんでしたが、コンサートは毎年、やっていました。アルバムを『出そう、出そう』と言って先送りしていたら10年たってしまったんです。だから今回は必ずアルバムを出そうということで、1年半〜2年の準備期間をもらいました。みなさんに急速に広まり、大きな反響があったのはうれしい限りです。運がよかったとしか言いようがありません」
韓国では、ニューアルバム『He llo 』はあの『カンナムスタイル』で大ヒットを飛ばしたPSYを抑え、ナンバーワンに輝いた。まさに完全復活だ。
「僕は60代ですが、その分、いろいろなことを考えるようになりました。若い人にも聴いてもらうことで、僕の存在意義も強くなると思い、曲を選びました。韓国では新曲『BOUNCE』が小中高生だけでなく、幼稚園児にも受け入れられたんです。これってすごいですよね。僕としても期待していなかったことだったので、とても驚いています」
日本では演歌歌手というイメージが強いが、韓国ではロックやバラード、民謡まですべてをこなす〝歌王〞と呼ばれる彼。今回『He llo 』のラップは、日本でも大人気のK-POPアイドル、2PMのテギョンが務めた。世代を超えた制作陣だ。
「今、僕がやりたいことは、幅広い世代に受け入れられる音楽なんです。自分が亡くなったあと、忘れられる音楽か、記憶に残る音楽か。それを今、歌手としていちばん考えています。記憶に残るためには、よい曲を残さなければならない。たとえば、今10歳の子供は、50年後には60 歳になっている。何かをかなえたいというよりは、そのときにどんな形で後世に残るのか考えています。音楽は感動から始まると思います。感動を通して、お互いを理解し、愛し合い、そしてまた出会うということが大切だと思うんです」
11月7日、東京国際フォーラムAホールで行われたコンサートは、2時間、休憩のない圧巻のパフォーマンスを見せた。まずはアルバムを聴いてほしい。新たな伝説の幕が開いたのだから。
■プロフィール
ちょー・よんぴる★’50年3月21日生まれ 大韓民国出身。’69年にカントリーグループのリーダーとしてデビュー後、’75年、ソロデビュー。’82年に日本デビュー。『釜山港へ帰れ』『想いで迷子』が大ヒットし、’87~’90年まで『NHK紅白歌合戦』に連続出場。
■告知など
アルバム
『Hello』
通常盤3,150円(税込み)で、ユニバーサルシグマより発売中