斎藤芳乃(さいとう よしの)プロフィール
マリアージュカウンセラー。女性の恋愛・結婚の問題を解決する心の花嫁学校マリアージュスクール主宰。「自尊心」の大切さを訴え、潜在意識にある不幸の根本的な原因を見抜き、現実を変化させる心の専門家として活躍中。東京・大阪・名古屋で開催される講座には、7000人以上の女性が参加。北海道や沖縄のみならず海外からも受講者が訪れる。また個人セッションの申し込みは、予約受付開始から5分で満席となる人気ぶりを博している。著書に『一週間で自分に自信を持つ魔法のレッスン』(SBクリエイティブ)、『運命の人と結婚する方法はシンデレラが教えてくれた』(マガジンハウス)。著者公式ブログにて、クライアントの実際の体験談や、潜在意識の書き換え方を日々更新中。9月に新刊『恋愛レッスン~永遠の絆のつくりかた』(SBクリエイティブ)を上梓した。
■恋愛被害の根底にある「上下関係」
こんにちは。マリアージュカウンセラーの斎藤芳乃です。
前回も触れましたが、芸能人の離婚をきっかけにデートDVやモラルハラスメントという名前が一般的になりつつあるように、「女性が被害を受ける」機会は、だんだんと増えています。いつも問題のある男性とばかり関わってしまったり、「被害を受ける」ような恋愛になってしまう…何度もこれと同じような恋愛パターンを繰り返してしまう女性は、思っているよりも少なくないんですね。
こうした恋愛被害について、前回は〈助ける女性〉と〈助けられる男性〉との「共依存」の観点からお話ししましたが、今回は「怯え」「恐怖心」の側面からお話ししたいと思います。
恋愛被害が生じるとき、私たちの深層心理では、その関係を象徴するかのように、すでに上下関係が生まれてしまっています。
言い換えれば、心理的に「相手よりも格下」になってしまっているからこそ、パートナーから支配されたり、暴力・暴言をふるわれるような現実を招いてしまうのです。
では、どう解決したらいいのでしょうか?
■歪んだ自己イメージを恋愛にも広げてしまっている
解決方法を考える前に、被害を受けている方の心の中がどのような状態であるのか見ていきましょう。
おそらく次のような状態になっているはずです。
・自分はつまらない人間だから、相手の言うことを聞かなければならない
・捨てられたくないから、相手の機嫌をとらなきゃ
・私は至らない人間だから、たいていのことは私が悪い
・自分が犠牲になって、面倒を見なければならない
いずれもベースになっているのは、「自己価値の低さ」です。歪んだ自己イメージなのですが、これが心理パターンとして定着しているのです。
実は、こうした心理パターンは、大人になってから形成されるのではなく、ほとんどの場合、幼少期の家族との関わりの中で生じてきます。
自分が親の親代わりになって面倒見なければならなかった、いつも親が自分に無関心だったため一生懸命親に媚びて愛情をもらわなければならなかった、常に怒られていたために自分が悪いというクセがついてしまった……というようなケースです。
つまり、親との関わりを通して身につけた「我慢し、無理をし、自分を犠牲にしてまで相手にあわせるような対人関係の歪みを、そのまま恋愛にも適用させてしまっているのです。
こうした苦しいパターンを繰り返している人自身、そのことに気づいてはいるのですが、頑張ってもなかなか改善することができません。
なぜかというと、こうしたパターンは「恐怖」という強い感情をベースにして作られているからです。行動を変えようと努力しても、「怖い」という感情に引っ張られると、コントロールが効かなくなってしまうんですね。
やめたいと悩む。そして、やめようと決意する。
けれど、実際に相手に接すると、たちまち「怖い!また○○しなければ!」というように、半ば自分の気持ちを無視して強制的に「相手の言うことを聞く」「我慢する」「世話をする」などの習慣が実行されてしまうのです。
■恐怖が強いAさん、普通のBさんの表現・態度の差
このように、私たちの根底に強い恐怖心があると、関係を変えられないばかりか、恐怖心に引きずられ、自分が望まない関係を苦しみながら繰り返すようになります。
ここで、例を見てみましょう。
Aさんは、自分が何か言ったら相手に怒られるかもしれないという恐怖心を常に抱えています。だから、自分の気持ちを伝えたり、わがままを言うなんてとんでもないと思っています。
相手にお願いごとをするときも、
「ごめんなさい、本当に申し訳ないんだけれど、どうしても自分ではできなくて、だからわざとではないんだけれど、○○してほしいと思っているけれど、でももし無理だったら言ってね。それであなたのことを嫌うなんていうことはないから」
というように、とても回りくどく伝えてしまいます。
相手にしてみれば、「ずいぶん他人行儀だな、普通に頼めばいいのにとなるでしょう。
怒りっぽい相手なら、Aさんを怒鳴り散らすかもしれません。
するとAさんはさらに恐縮してしまい、「この人の機嫌を損ねてしまった!ごめんなさい!」と、なんとか取り繕うとします。しかし、こういうやり取りが続けば、相手はAさんに対してしだいに距離を置くようになります。
一方、Bさんは、「あ、△△さん!これやってほしいな!あなたってすごく上手だし!」というように、相手のことを認めながら、臆すことなくストレートにお願いできて、しかも、相手からの頼みごとも気楽に引き受けられます。断ることにも罪悪感を抱きません。
もし相手が機嫌悪く断ったとしても、必要以上に恐怖心を持っていないため、「わあ、この人感じ悪いな。もう関わらないようにさっさと離れよう」といように、相手と距離を置くことができるのです。
このように、恐怖心を持っているか持っていないかで、
・初めから相手と対等に接することができるかどうか
・もし問題が起きたとしても、その原因を自分に求めることなく相手から離れられるかどうか
が決まってしまうのです。
被害を受けやすい人、つまり恐怖心を持っている人は、相手にいつまでも関わり続け、自罰を続けてしまいます。そして、なかなかそのループから抜けられません。
一方で、被害を受けにくい人、つまり恐怖心を持っていない人は、最初から相手と対等に接し、不適切な相手は見抜いて自己防衛できるからこそ、苦しい恋愛関係に陥ることがないのです。
■恐怖を癒すためのセルフセラピー
このように、「恐怖心がベースになって相手と接している
と、深く関わる相手や、そして、その相手とどんな恋愛をするのかが決まってしまうんですね。
ですので、被害を受けてしまうような恋愛のパターンを根底から変えていくためには、表面的なことを変えるのではなく、苦しみの元になっている自分の中の恐怖心を癒すことが大切です。
それでは、恐怖心を癒すためにはどうしたらいいのでしょうか?
実は、強い恐怖心のほとんどは、「怖い想いをした」という過去の経験をベースに作られています。
例えば、「子どもの頃犬に噛まれたことがあるので、大人になってからも犬が怖い」というように、記憶を参照して恐怖を感じているのです。
ですから、まず恐怖心を癒すにあたっては、「怖がってばかりいた、記憶の中の子供時代の自分」に注目します。
いまだに怖がっている子供時代の自分をイメージの中で抱きしめながら、「あのときは怖かったね、もう大丈夫だよ」と語りかけてあげます。
この時、ずっと我慢していた恐怖や苦しさを感じて、涙があふれてきたり、嗚咽が止まらなくなるかもしれません。けれど、それで大丈夫です。
母親になったつもりで、怖がっている自分を泣かせて抱きしめてあげてください。
記憶の中の自分を優しく愛し、恐怖心を受け止めてあげるだけで、脳に焼き付いていた過去の苦しみは次第に癒えていくのです。
そして次に、怖さを認めながら、「本当は怖かったんだね。いやだったよね。その人から離れて良かったんだよ」ということを、自分に教えてあげます。
恐怖に縛られその場から逃げられない人の多くが、「相手との関係を自分がなんとかしなければならない」という責任感を背負ってしまっているんですね。
これは、私たちが子供の時、家庭という狭い環境の中でしか生きられなかったため、「親が怖くても我慢して、関わり続けなければならない」という生き方を自分に強制してきたためです。
しかし、大人になった今は、自分の意思で自分を怖がらせる相手から逃げたり離れたりすることができます。それが自分を守るということです。
ですので、「我慢して相手と関わり続けることしか知らなかった自分」に対して、「本当はあなたは我慢しなくていい、その人から離れ、安全な場所で安心できる人と関わるようにしよう」ということを教えてあげるのです。
この時も、まるで自分が母親になったように、「怖かったね、辛かったね、本当は我慢したくなかったね。もうあの人と関わらなくていいのよ。もう怖い人と関わるんじゃなく、あなたを大切にしてくれる人と関わろうね」というように、優しく丁寧に、何度も言い聞かせてあげます。
こうして、自己対話を通して自分を癒す=自分の心のクセを育て直すセルフセラピーをしていくことで、恐怖にしばられ、恐怖心のせいで条件反射的な反応しかできなくなっていた頑なな心が、次第に「怖かったら離れて良いんだ」ということをだんだんと受け入れられるようになっていくのです。
子供時代、恐怖を感じる環境にいた人ほど、「恐怖を感じても我慢することが当然だ」と今までは思い込んできたかも知れません。
けれど、大人になった今は、あなたが親から与えられた恐怖心に縛られる必要はありません。
大人になって子供時代から解放されたあなた。言い換えれば、あなたはもう子供時代や親に関係なく、あなたが心地よさや安全を感じる人とだけ、付き合う権利を持っています。
辛い過去も、ひとつひとつ丁寧に向き合っていくことで、新しい人と付き合い、新しい恋愛のパターンを手に入れることは可能です。
もう大丈夫。怖がるばかりの人生は終わりにしようね。
そんなふうに、いたいけな心の中のあなたに優しく接してあげてくださいね。
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・価格:1,404円(税込)1,300円(税抜)
・発売日:2014年09月29日頃
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