片岡愛之助です。今月は、台風の当たり月だそうで、気を抜けない日が続きます。
みなさま、お気をつけください。
外が不快な日は、おとなしく家でテレビを楽しむ、なんて過ごし方をしても良いのではないでしょうか。
先週から、毎週日曜日22時にNHK BSプレミアムで始まりましたドラマ『ある日、アヒルバス』。好評なようで、いろいろなご意見・ご感想を頂戴しております。ありがとうございます。
“ダメな”二代目社長を熱演!『ある日、アヒルバス』(C)NHK
自分で言うのも口幅ったいことですが、たいへん面白い台本のドラマでございまして、「女性自身」の読者の皆様も、見ていて共感なさる点が多いかもしれません。
それほど、いまの世の中での、等身大の悩みがきちんと描かれていると思います。
主人公は、40歳の独身女性です。今、日本では、企業の業績は上向きつつあるものの、消費者個人の景況感は“不景気”でしょう。昔なら、大企業に就職すれば一生安泰と思われていたものが、今は一部上場の大企業ですら、明日はどうなるかわからない世の中じゃないですか。
M&Aがあったり、リストラがあったり、これはもう他人事ではなくなって来ている問題なわけです。
そんな、昔ならあり得ないことがどんどん頻繁に起こるようになって来ている日本社会。今回のドラマでも、主人公の浅倉葉月は、勤めていた出版社をクビになり、突然路頭に迷ってしまいます。
ひとり身の女性にとって、40歳は微妙な年齢と、よくお聞きします。結婚して、子供を産むか? あるいは違う道を選択するか? 両立を目指すか? という人生の岐路です。
そんなとき頼りたいはずの7年間付き合っている彼氏とのことでも、別れるか、別れないか、という大問題が降りかかってくる。
とにかく、食べていくためには働かなくてはいけない。ひょんなことから観光バス会社に入ることになって、そこで心機一転頑張り出すというストーリーなのですが、これが涙あり、笑いあり、思わず“わかるわー”とつぶやきたくなる、すごいヒューマンドラマになっているわけです。
そして、わたくしが演じさせていただく役どころは、この主人公の葉月が再就職する観光バス会社「アヒルバス」の社長なんです。
子供のオモチャのアヒルを想像していただけるとわかりやすいのですが、アヒルバスのイメージカラーはあの黄色です。
わたくし演じる二代目社長は、自分の会社のアヒルバスが大好き。“アヒルカラー”の蝶タイをして、カフスボタンや腕時計も黄色だったり、もう徹底しています。
ところが、この社長、世に言う「二代目」の出来の悪いほうの典型そのものでして。悪い例の二代目社長って大体父親が一代で築いた会社をダメにしちゃうイメージがありますよね。ドラマの二代目社長も右にならえで、会社がどんどん傾いていくわけです。
どうしたらいいのか、体を張って、何とか会社を再建しようと奮闘します。
実は全8話の収録は、もう6月中に全部終わっているのですが、これがけっこう大変でした。
社長ですから、社員のみんなを集めて、演説をぶつシーンがあります。
その台詞が、収録直前で変更になって、これには困りましたね。
次の収録シーンなのに、いきなり差し込みでえらい長ゼリフが来て、えー、いきなりこれ覚えて、言うの!? 次のシーン!? しかも増えてるし! 緊急対応に慣れてるNHKのアナウンサーちゃうねんぞって、ひどく戸惑いましたね(笑)。
でも、必死で頑張りましたよ。一発OKでした。見てくださいね(笑)。
もうひとつ、7月16日(木)21時からのBS日テレ『片岡愛之助の解明! 歴史捜査』では、ついに坂本龍馬を取り上げさせていただきます。
「大奥」の回ではチーフ自らロケへ。『片岡愛之助の解明! 歴史捜査』(C)BS日テレ
最近では“歴女”という言葉があるくらい、この連載をご愛読くださっている女性の方々の中にも歴史好きの方は多いと思いますが、好きな歴史上の人物の常に上位にランクインしているのが、この龍馬だそうです。
志半ばで非業の死を遂げた若い英雄の姿に、思いを馳せる人々が多いのでしょう。
番組でも、知られざる龍馬の新事実に焦点を当てています。 どうぞご期待ください。
そして、7月15日(水)21時からは、テレビ朝日系ドラマ『刑事7人』の放送もはじまります。東山紀之さん、鈴木浩介さん、倉科カナさん、吉田鋼太郎さんら、個性あふれる7人の中にわたくしも入れていただいて、とても幸運でした。こちらもお見逃しなく!
台風にも負けず、みなさまも元気に過ごされますよう。
片岡愛之助
プロフィール
1972年3月4日生まれ。’81年12月、十三世片岡仁左衛門の部屋子となり、南座『勧進帳』の太刀持で片岡千代丸を名乗り初舞台。’92年1月、片岡秀太郎の養子となり、大阪・中座『勧進帳』の駿河次郎ほかで六代目片岡愛之助を襲名。’07年12月上方舞・楳茂都流の四代目家元を継承し、三代目楳茂都扇性(せんしょう)を襲名した。