梅雨明けです! 暑いです! 片岡愛之助です!
今日はわたくしよりも“アツい”、芸能界の兄貴の話をしたいと思います。
少年隊の東山紀之さんです。すごく昔からの付き合いという感じでもないのですが、常にお互いの活動を気にかけ、すごく良い関係を続けさせていただいています。
最初の出会いはお仕事でした。5年前に、映画「小川の辺」で共演させていただいたのが最初です。
主人公が東山さんで、わたくしの役どころは東山さんの妹の夫。時は江戸時代、藩の政治を批判したわたくしに対する討伐の命を藩から受けたのが東山さんというわけです。
映画のクライマックスは、もちろん東山さんとの決闘シーンです。
撮影は終盤に行われたのですが、リハーサルでの東山さんの剣さばきがすごいのなんの! とにかくものすごい気迫なんです。こちらも負けじと挑んでいきました。
その結果、勢いが抑えきれず、彼の手首にひと太刀浴びせてしまったのです。その瞬間、やっちまった、と絶句してしまいました。
東山さんはそのまま病院へ。芸能界の大物にケガを負わせてしまったわけですから、「あー、これで自分の芸能人生も終わったな」と落胆どころか茫然としてしまいました。
間もなく東山さんが現場に戻ってきたんですが、「この落とし前は……」と言うんです。真っ青になって平謝りするわたくしに、「今度、飯でもおごってよ」。このときほどホッとしたことはありませんでした。
以来、とても仲良くなり、東山さんは京都の公演に向かうわたくしに、「観に行くから」と丁寧に挨拶をしてくださいました。
半分社交辞令だと思っていました。実際にわざわざ東京から京都や大阪まで、わたくしの公演をご覧になるためだけに足を運んでくださる芸能界の方はほとんどいらっしゃいません。でも、東山さんは本当にわざわざ来てくださったんです。
楽屋を訪ねてこられての第一声が、「初めてだよ。人生で自分で切符買ってきたの!(笑)」。
もちろん、終演後に一緒にお食事に行きました。こちらが“ご接待”申し上げないといけない立場なのに、東山さんはガイドブックで予習して、1軒目も2軒目もすでに予約済み。しかも、支払いまで全部なさってくださいました。ほんと、頼れる“兄貴”なんです。
そんな兄貴と、現在、5年ぶりに『刑事7人』(水曜日21時~、テレビ朝日系)で共演させていただいております。
撮影合間に監督の指示を受ける表情は真剣そのもの テレビ朝日『刑事7人』(C)加治屋誠
東山さんとは、2年前の「半沢直樹」のロケのときも、ニアミスはしておりました。
わたくしが都内の学士会館でロケをしておりますと、他のドラマもロケをしている。えっ!?て見たら、東山さんでした。嬉しくて、「何、撮ってるんですか?」と思わず声をかけてしまいました。
東山さんはNHK土曜ドラマ「七つの会議」のロケで、くしくも半沢と同じ池井戸潤さんの原作作品。「へー、頑張ってください」と、挨拶だけでそのときは別れました。
それが5年ぶりに、ようやく共演です。「刑事7人」の共演者には、「半沢直樹」以来の方も多くて、吉田鋼太郎さんと、北大路欣也さんとも、久しぶりに共演できてすごく嬉しく思っています。息の合った刑事ぶりをご堪能ください。
また、わたくしがレギュラーMCを務めさせていただいております、BS日テレ『片岡愛之助の解明! 歴史捜査』(木曜日21時~)の23日放送分では、わたくしにとても縁のある、豊臣秀吉が建てた城に、焦点を当てて、謎が展開していきます。
『片岡愛之助の解明! 歴史捜査』(C)BS日テレ
わたくしも大阪出身の役者として、昨年9月に行われた大坂の陣400年天下一祭出陣式では、特命応援隊副隊長を任ぜられ、隊長の和田アキ子さんともども大阪を大いに盛り上げてまいりました。
その基礎となったのが秀吉が建てた大坂城です。
そこにはどんな謎が秘められているのか、どうぞ期待してご覧ください。
NHKBSプレミアムのドラマ『ある日、アヒルバス』(日曜日22時~)には、奮闘する二代目社長役で出演させていただいております。こちらもお見逃しなく!
熱さに負けず、みなさまも元気に過ごされますよう。
片岡愛之助
プロフィール
1972年3月4日生まれ。’81年12月、十三世片岡仁左衛門の部屋子となり、南座『勧進帳』の太刀持で片岡千代丸を名乗り初舞台。’92年1月、片岡秀太郎の養子となり、大阪・中座『勧進帳』の駿河次郎ほかで六代目片岡愛之助を襲名。’07年12月上方舞・楳茂都流の四代目家元を継承し、三代目楳茂都扇性(せんしょう)を襲名した。