1月28日、富士山の北東にある富士五湖周辺で震度5弱の地震が発生した。気象庁は発生直後の会見で「火山活動との関連性はない」と発表したが、「富士山は必ず噴火します」と断言するのは、三原山大噴火、阪神・淡路大震災などを予知してきた木村政昭・琉球大学名誉教授。
「富士山の地下20キロほどにマグマ溜まりがあることがわかったのが30年ほど前。それが10年前には10キロまでに。今回の東日本大震災で、マグマの動きがさらに活発になっています。ここで大きな地震が起これば、誘発されて大噴火する可能性も否定できません」
先月には東京大学地震研究所が「東京直下型地震が4年以内に起こる確率は70%」と衝撃的な予測をしたばかり。もはや富士山噴火は、免れないことなのかもしれない。では、富士山が噴火した場合、どんなことが起こるのだろうか。専門家の話をもとに、緊急シュミレーションをしてみた。
○月○日午前10時。富士山が噴火。その後、強い偏西風にのり、噴火から2時間半ほどで東京都内に降灰が始まる。東海道新幹線、東名高速道路は直ちに通行禁止になり、電車、飛行機など交通機関もストップ。火山灰が各地の発電所・送電所などの機器をショートさせ、噴火から1日もたたずに首都圏全域が大停電に。
降灰が続く街では、家路を急ぐ人たちが駅に殺到。しかし電車の運休を知り、歩いて帰宅する帰宅困難者が道路にあふれ出る。コンピューターネットワークの故障により携帯やスマホは、通話もメールも不通となる。火山灰により車や自転車が使えず、帰宅困難者は、首都直下地震時の予想を超え、1千万人を超える。
噴火から1週間——。首都圏の水がめは火山灰で汚染され上水道は断水状態が続く。下水道も灰が詰まり、避難所の仮設トイレには長蛇の列。しかもそこは排泄物であふれている。避難所の人たちは真っ黒に汚れたまま、咳をしながら横たわっている。噴火は繰り返され2カ月以上も続き、東京は陸の孤島に。そして街は完全な無法状態に……。
このシュミレーションはあくまで最悪のケースである。しかし、大げさな話とは思わないでほしい。「想定外」が起こることは、東日本大震災で思い知ったのだから――。
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