3月10日、東京渋谷区のユーロスペースで、映画『RIVER』の初日舞台挨拶が行われ、主演の蓮佛美沙子(21)、廣木隆一監督らが出席した。本作は、2008年6月に起きた秋葉原殺傷事件で恋人を失った主人公・ひかりが、秋葉原の街を15分間ずっと歩いているという印象的なシーンからはじまる。
カメラの長回しの経験が少ない蓮佛は、「ひかりとして秋葉原を歩いてみたら、気持ちが出てきた。撮影したのが初日だったのですが、ちょうどよかったです。これでひかりがつかめた」と振り返った。また、本作は、準備中に東日本大震災が起こり、それを受けて脚本を変更。廣木監督は「スタッフとはこんな時期に映画をやっていいものか、と議論もしたけれど、現実に起こったことに目を背けてはいけないという思いもあり、被災地にも行きました」と話した。
蓮佛は「ちょうど1年前、震災が起こった2週間後に撮影を始めて、当時はこの作品に携わった全ての人が、何が正解か分からないながらも、今撮らなければいけないもの、今残しておかなければいけないことがあるはずだという強い思いのもと作りました。何かを考えるきっかけになれば」と作品への思いを熱く語った。(撮影:江口明裕)