「おカネはすべての欲の象徴。怖いものなんです。でも、みなさんに伝えたいのは『だからといって大金にビビるな』ってことにつきますね(笑)」
麒麟の田村裕(34)は13歳のとき、家族が“解散”し、家を失った経験を持つ。そのころの極貧生活を綴った『ホームレス中学生』(ワニブックス)は200万部の大ベストセラーになった。推定2億円の印税を手にしたものの、そのおカネは周囲への恩返しのため、使い切ってしまったという。現在は一般人女性と結婚し、妻を養う夫という立場になった彼が今だからこそ考える、『おカネのたまらないNG習慣』とは?
【NG習慣1・『おカネは使うほど入ってくる』と信じている!】
「僕は正直、結婚するまでは、おカネは使えば使うだけ入ってくるものだと信じていました。そういう都市伝説、ありますよね? そうしたら……入ってこなかった。打ち止め。制限があったみたいです(笑)。今は、嫁がストレスを感じないくらいの余裕ある生活をしたいので、なるべく無駄遣いをしないようにしています」
【NG習慣2・『財布の中』にいくら入っているか把握していない!】
「お財布が重たいのが嫌いだから、必要最低限のものしか入っていません。なので、いくら入っているかわからないんです(笑)」
財布に現金がなくなったら銀行で下ろす。計画性がないため、銀行におカネがあるうちはいいが、いつか行き詰まることになる。
【NG習慣3・『収入と支出』の計算ができない!】
「『1カ月の収入がこのくらいだから、使うのは1日いくらまで』という計算が、まったくできません(笑)。そもそも月に収入がいくら入っているかさえ、わかっていないことが多いですね」
【NG習慣4・『宵越しの銭は持たない』美学を持っている!】
「おカネが入ったとき、先輩芸人のメッセンジャーあいはらさんに『だまされたと思って2千万円、最低でも1千万円は手元にとっておけ』と、ホンマに何回も言われていました。でも、すべて聞き流していて。案の定、今とても後悔してます」
芸人としての緊張感を保つため、という理由で余計なおカネはいらないと考えていた田村。そのため本の印税も貯金に回すようなことはしなかった。
【NG習慣5・『見栄』を張ってしまう!】
「おカネに少しでも余裕があるときって、ケチだと思われたくないんです。貧乏のときは『そんなの気にしない、使わなければいい』って思えるのに」
【NG習慣6・おカネの『使い方』がよくわからない!】
「“事情通”だと名乗る先輩から突然、電話があって『お前のことを詐欺団が狙ってるぞ!』と言われたんです。詐欺師じゃなくて詐欺団って、『何人おんねん!』と(笑)。今は笑えますが、当時は恐ろしかった。『マンション買いませんか』っていう手紙もたくさん届くし。おカネの使い方は、学校でも教えてくれないじゃないですか。怖くて、早くこのおカネをなくしたいと思いましたね」
【NG習慣7・おカネは『安定して入ってくる』と思っている!】
「100人に1人、千人に1人のよほどの存在でないと、一生おカネに困らないってことはありません。漫才のネタも、誰が書いても2〜3本は面白いものは書けるそうです。これを何十本、何十年と続けていけるかっていう話です」
ポンと手にした大金は、実力なのか偶然なのか。実力だとしたら、ずっと続くものなのか。それを見極めることが大切だと田村はいう。
【NG習慣8・おカネがあると確実に『気が緩んでしまう』!】
「印税を使って、後輩たちといいものを食べていたときは、よくおなかを壊してました(笑)。油に負けたのもあると思いますけど、何より気が緩んでいるんですよ。それが、心と体に一気にくる」
印税が入ったことで、生活に大きな変化はなかったにもかかわらず、急に太りだし、痛風にもなりかけたという。すべては『おカネに余裕がある』という気の緩みが原因だった、と田村は分析している。
現在、しっかりした奥さんのもと、田村家の家計は管理されている。今後はおカネを怖がるようなことはなさそうだ。