朝の連ドラの『あまちゃん』や『ごちそうさん』が大好評、『NHKスペシャル』では生きたダイオウイカの撮影に世界で初めて成功するという歴史的快挙を成し遂げたNHK。いまや民放を凌ぐ話題作を連発している。その番組制作費は、民放トップのTBSが988億5千300万円なのに対し、NHKは3千91億円と約3倍だ。
民放を経て、現在はNHKの現役女子アナとなったXさん(30代)は、NHKと民放との違いを次のように証言する。
「基本的にNHKはゆとりがあり、地方局でも人材に余裕があるという印象は強いですね。民放時代は、それこそ毎日、報道番組のキャスターをやりながら記者業を兼務。さらに、営業案件の司会もたくさんやっていた」
一方でNHKの場合は職務範囲が民放より狭く、それを超えて働くことは、まずありえないという。
「特に地方に多い契約キャスターの場合、自分が担当する番組以外は何もしなくてもいいし、たとえほかで手が回っていなくても関わろうとすらしない。手伝ってしまうと『あいつは間違った女子アナの仕事をしている』ということで、局長から注意を受けた人もいる」
給与や待遇面でも、差は出てくる。
「民放の場合は千差万別ですが、NHKの場合は正社員の女子アナだと、1年目の年収は500万円前後。契約キャスターの場合は、だいたい1カ月で40万円くらい。ヘアメイクやスタイリストはロケ番組でもつくことが多いので、自腹で買う衣装は月数万円程度ですみます。民放のころは、自腹で毎月10万円買っていましたから」
エースの有働由美子アナで年収1千500万円、杉浦友紀アナで800万円程度。とはいえ、NHKでいいことばかりが続くかというと、そうでもないようだ。
「上司からは、とにかく『正社員と契約キャスター・契約社員が一緒に飲みに行くのは控えるように』とお達しがきています。理由はズバリ、金銭面での待遇の差が大きいから。実情を知って、現場の士気に影響が出ないように、という配慮があるようですが、局内では『あれ、人権侵害だよね!』と笑っています(苦笑)」
また、正社員のアナウンサーの場合、数年おきに地方局を回り、うまくいけば入社5~6年目で、東京アナウンス室に行けるが、それを逃すと一生、地方局回りが続くこともあるという。
「さらに、地方局の場合は“エリア待機日”といって、災害などの有事に備えて、行動範囲に制限が出ることが多いんです。段階は2つあり、ひとつは自宅周辺しかいられないパターン。もうひとつは県内に留まる場合。その日も、休日なので本来はしっかり休みたいのですが……」
(週間『FLASH』2月11日号)