「ロケ地選びは、制作スタッフの方から依頼があって昨年の7月から探し始めました」
こう話すのは、当時・山梨県庁観光部に所属していた中村洋一さん(現在は企画県民部)。山梨が舞台の『花子とアン』。大正時代の安東家の人々の暮らしが描かれる景色は、県職員らが奔走して見つけ出したという。車で走り回った総移動距離は、なんと5千キロ!
「100年前の話なので、古い建物でも、電柱やガードレールといった現在の物が映りこまないところを探さなければいけませんでした。のべ30日はかかかりましたね」
現地での撮影が進むにつれ、一体感も高まっていった。
「吉高さんは明るい方で、ときにはジョークを言ったりして、撮影現場の雰囲気を和ませていましたね。氷が張っていて、マイナス3度という日もありました。寒いなかの撮影でも、吉高さんの足元は裸足にわらじ。そんな状況でも、本番の声がかかってガウンを脱いだ瞬間に震えが止まり、吉高さんはどんなに長いシーンでもずっと震えないで演技をつづけていました。集中力の高さに驚かされました」(中村さん)
極寒のなか、気丈にヒロインを演じる吉高の“女優魂”に、中村さんたち県職員も感心しきりだったようだ。
「ドラマに私たちの地元が映し出されるのはやっぱりうれしいです。ロケ地選びに苦労したのも、今となってはいい思い出です(笑)。これからも、吉高さんの山梨ことば、山梨のきれいな景色が登場するのが楽しみですね」(中村さん)
吉高をはじめとするキャストの奮闘ぶり、視聴者の心を惹きつけるストーリー、さらに地元・山梨に郷土愛を注ぐ人々の思い――、これらがあいまって、朝ドラの人気を支えているようだ。