≪絞り柄ゆかた 税込み2万520円≫と記されたネットの商品画像には、“市田ひろみ”の名前がデカデカと――。名古屋の伝統工芸『有松鳴海絞り』を模して、プリントした浴衣が問題になっている。“パクリ疑惑”の浴衣をプロデュースしたのは、服飾評論家の市田ひろみ(82)だ。

「毎年こういう問題は出てくるけれど、あんな安さで売られてしまうと、さすがに困ります。うちのは反物になるまで、最低1カ月はかかります。工程は多岐に渡り、すべて分業で手間暇がかかるんです。ただ、業界も狭いですし、事を荒立てたくは……」

 そう困惑を隠せないのは、名古屋市の絞り製造業『近喜』の近藤久人社長(56)。今夏、自社の有松鳴海絞りにそっくりな柄の浴衣がネットで売られているのに気付いたという。同社の絞りは、複数の職人が手掛けるだけに1着10万円前後する。が、問題の浴衣はたった2万円と激安だ。浴衣を“監修”した市田に、電話で直撃した。

「着物の世界では、よくあることなんです。伝統柄は大体、同じような模様になりますからねぇ」

 のんびりした京都弁で言う。

「私のデザインも、たくさん盗用されてきました。同じようなものが多いので、責任の所在って難しいですよねぇ」

 それ、開き直りですか!?

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