「今回演じた和希は、お母さんに放っておかれて孤独を感じている女のコ。感情がいっぱいいっぱいになってしまっているのに、素直に吐き出せない、動けなくなっちゃっている。それで、どうしたらいいかわからなくて、髪を染めたり、家を空けたり、いじわるなことを言っちゃうのかなって思いました」
そう話すのは、8月16日公開の映画『ホットロード』で、母親の愛を感じられず反抗的な態度をとってしまう少女・和希を演じている能年玲奈(21)。和希とは「似ている部分がない」と言うが、その理由は不思議な(!?)親子関係にあるよう。
「私はお母さんにムカッとしたら、そのまま言っちゃうほうなので、ほとんど正反対です。和希と同じ14歳のころは毎日、口げんか(笑)。部活とかバンドとかで失敗してズーンと落ち込んでいるときに、お母さんは『大丈夫、大丈夫!』みたいな。それがなんかムカつくなって(笑)。慰めてほしいだけなのに、楽観的すぎるというか、私のことを考えている感じじゃないなって思いました。そういうことを事細かに言っていたら、理屈っぽいって怒られるし、私は正しいことを言っているだけなのになんで?って(笑)」
本人いわく、“お母さんはズレている”と思っていたのだそう。いったいどういうこと?
「うちでは、タオルケットを『チューチュー』と呼んでいたんです。中学生のときに友達と話していたら『何それ?聞いたことない』って。似ていると気になっていたので、お母さんに『タオルケットとチューチュー何が違うん?』と聞いたら『一緒のようなもんやで!』って……。だまされてた(笑)。子供のころにタオルケットをくわえてチューチューしながら寝ていたからこの呼び方だったみたいですけど」
とはいっても、基本は“仲よし親子”。楽しいけんか話はまだまだ続くが、上京して少しずつ関係性は変わってきたよう。
「中学生のときに、芸能のお仕事をちゃんとやりたくて『上京したい』って伝えたんです。そしたら『一人で東京でやっていけるとは思えない』って言われて、そこから毎日、言い合いに。いま思うと、私もちゃんとしていなかったし、何も決まっていないのにむちゃだったなって、お母さんの気持ちがわかる気がします」
最近は離れて暮らしていることもあって、言い合いはなくなったみたいだが……。
「私が出ている作品を見て喜んでくれているし、今は楽しいお母さんでよかったなと思っています。今でも、『この人、ズレてる』って思っていますけど(笑)」