「(矢口真里さんは)いろいろ経験したほうがいいと思うんですよ。芸能人はそういう苦労によって、より表現が磨かれます。一時のスキャンダルにとらわれていてはダメですよ!」

 そう語るのは、隔週連載『中山秀征の語り合いたい人』第27回のゲスト、精神科医・名越康文さん(54)。コメンテーターとしてもおなじみの名越さんが、2014年“ニュースな女”の心理を分析!10年来の付き合いだという2人のぶっちゃけトーク、スタートです。

中山「今年ももう終盤ですが、今年世間を騒がせた女性のお話を伺いたいですね」

名越「矢口真里さんが復帰されましたよね。ワイドショーの枠では最悪な事態の一瞬しか切り取ることができない。点で捉えるだけではなく、その人がどの場面で危機を乗り越えるのか、どう成長していくのか、もっと長いスパンで伝えることが大切です。僕は犯罪ではない限り、いろいろな経験もすればいいと思うんです。そのほうが、競争率の激しい芸能界の中で個性が生きてくる」

中山「スキャンダルがあると、どうしてもやり玉にあげられてしまうんですよね〜」

名越「昔は一芸に秀でていれば、どこかが欠けていてもよかったのに、今は人柄もよくきちんとしていないと、いい歌すら否定されてしまう。結局、面白い人が育たず、大スターがいなくなり、芸能界全体が縮小していってしまう気がします」

中山「STAP細胞騒動の小保方晴子さんはどうですか?」

名越「僕は情報番組に出演していたときに『STAP細胞は、あります!』の会見を見ていたんです。6割くらいのスタッフが涙ぐんでいましたね。『悪い大人が利権を振りかざしていじめている。このコを救ってあげなければいけない』と世間を味方につけたのは、圧巻でしたよね。理研側からしたら、たまったもんじゃなかったでしょうけどね(笑)」

中山「理研は、こんなことになるなんて想像もしなかったでしょうしね」

名越「僕は最初『もしもSTAP細胞の存在が真実だとしたら、科学史がひっくり返るくらいのすごいことだ』と思いましたね。刺激を加えると細胞が変化するなんて、定説を覆す大発見ですから、科学に携わる者として内心はワクワクしていたんです。そしたら、次第に風向きが変わってきた(笑)」

中山「科学者はロマンチストですね(笑)」

名越「どこかでボーイなんですよ。科学とは非常に客観的で、白か黒かはっきり判別できるものではなく、いろいろな人の主観や思いや熱意のうえで、最後に客観的なモノがポロッと出てくるんです。ただ科学を信奉するのではなく、もっと冷静に見ようとしてくれたらうれしいですね」

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