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「今年の5月10日で90歳になりました。最近『終活ノート』が話題になるなど”終活”への関心が高まっていますが、私も1年ほど前から身の回りの整理を始めました。身の回りの整理は『年を取ってから』と思っていましたけれど、(泉)ピン子から『ママは来年90歳だし、もう年を取っているんだよ』と言われて(笑)」

 

そう語るのは、大ヒットドラマ『渡る世間は鬼ばかり』や『おしん』などを手掛けてきた脚本家・作家の橋田壽賀子さん。26年前に夫に先立たれ、現在は静岡県熱海市で暮らす。

 

「本はほとんど熱海市の図書館に寄贈しましたし、資料として取っておいた新聞の切り抜きなどは全部捨てました。私は、ものを捨てられない性分で、山のようにあったメガネは、発展途上国にメガネを贈る団体に寄付しました。発展途上国ではメガネは貴重品で、とても重宝されると聞いたものですから。ハンドバッグも人にあげたり、このあいだお手伝いさんたちに頼んで128個リサイクルショップにもっていってもらいました。そうしたら40何万円にもなったんです(笑)」

 

橋田さんの“終活”は、こうした物の処分だけではない。

 

「お葬式は、見ているとみなさん、お義理でいらっしゃっているみたいですから(笑)。お葬式はしなくていいし、戒名もいりません、と。お墓は――主人は、大好きだったお母さんと一緒のお墓に入りましたけれど、主人の兄から『壽賀子さんは入れませんよ』と言われました。私だっていやですよ。あの世に行ってまでお姑さんに気を遣うのは(笑)。私は一人っ子で、結婚してお姑さんや小姑たち――”家族”ができたときに、つくづく『家族というのは気を遣わなければいけないしたいへんだ』と思いました。こうした思いはすべてドラマになって、しっかり儲けさせていただきました(笑)。主人と私のお墓は静岡県の霊園にあります。そこには主人と私の遺品を入れて、私は愛媛県今治市にある両親のお墓に入るつもりです」

 

さらに成年後見人も、すでに橋田文化財団の顧問弁護士に依頼済み。介護や看護、財産の管理・処分など、すべてを託してあるという。

 

「私が積極的に”終活”に取り組むようになったのは、私は天涯孤独で、跡継ぎもいませんので。『立つ鳥跡を濁さず』で、私の死後、みなさんにご迷惑をかけたくないからです。

主人がなくなったときに、一人で生きるためにはどうしたらいいか考えました。『それにはまずお金だ』と思って、そこから一生懸命働きました。いま、うちには交代制ですけど、お手伝いさんが6人います。このほうが親族に面倒をみてもらうよりずっと心豊かでいられるし、私はいま、理想的な暮らしをしていると思いますね」

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