「私が故郷イタリアから日本にやってきて、再来年で丸50年になります。ヒデと出会えて、3人の子供も生まれて……。きっと私が日本に来たのは運命だったのでしょう」
自身の半生を考え深げに振り返るのは、ロザンナ(66)だ。17歳で来日した彼女が『ヒデとロザンナ』としてデビューしたのは’68年のこと。デビュー曲のB面だった『愛の奇跡』が大人気になり、その後も次々にヒット曲を発表した。
デュオのパートナーだったヒデこと出門英さん(享年47)と結婚したのは’75年。
「私の一目惚れでした。でもヒデには大勢のガールフレンドがいて……。あるとき彼から『イタリア出身なんだからスパゲティでも食わせてくれよ』と言われて、私は国際電話でママにミートソースの作り方を教わりました。当時は青果店にオリーブなんて売ってなかったけど、なんとかママの味のミートソースを作ったら、喜んでくれて……。ママは『イタリア女は美味しい食事で男の胃袋をつかむのよ』とも教えてくれたんです(笑)」
結婚生活は15年に及んだが’90年、47歳の若さでヒデが結腸がんのため死去。故郷・イタリアに帰ることも考えたそうだが……。
「イタリアの父にも『(帰国は)よく考えなさい』と言われましたし、子供たちにも『日本で暮らしたい』と言われ、残ることにしました。それから25年たちますが判断は正しかったと思います。いまは長女でモデルの万梨音(34)と、2人の孫と同居しています。孫からすると私は“口うるさいおばあちゃん”のようです。私が言っているのは『ご挨拶しましょう』『親を尊敬しなさい』『乱暴なことは言わない』……そんな基本的なことなのですが、難しいですね(笑)」
来年2016年には日伊国交150周年を迎える。
「できることなら私も何かお手伝いしたいですね。いまも私はイタリア国籍なので、いまだにイタリアの大統領選挙の投票用紙が東京の私のところに来るんです。このまま亡くなると、埋葬なども面倒ですし、ヒデと同じお墓に入りたいですから、早く日本国籍に変えなくてはいけませんね(笑)」
日本で暮らしてもう半世紀の彼女だが、明るく笑う様子はイタリアの“マンマ”そのものだった。