「’83年生まれの有名人が、これだけ立て続けに世間を騒がすと、今後何かをやらかした有名人が出るたびに、“何年生まれだろう?”と調べたくなりますね(笑)」
そう語るのは、漫画家のやくみつるさん。7月に元SPEEDの今井絵理子参議院議員(33)と、神戸市議会議員の橋本健氏との不倫疑惑が報じられた。また、8月に同じく元SPEEDの上原多香子(34)にもスキャンダルが発覚。3年前の夫・TENNさん(享年35)の自殺は、なんと上原の不倫が原因であるとの報道も……。
この2人は、ともに’83年生まれだ。冒頭でやくさんが話すように、最近の“お騒がせ女子”は、「’83年生まれ」がやたらと目立っているのだ。’15年、男性秘書と“不倫温泉旅行”に出かけていたことが報じられた上西小百合衆議院議員(34)は、いまだテレビやSNSでの発言などで注目の的となっている。’13年、自宅マンションに不倫相手を連れ込み、現場で夫と“鉢合わせ”した後に離婚した矢口真里(34)もその1人だ。そして記憶に新しいところでは’16年1月、上西や今井らと“同学年”のベッキー(’84年3月6日生まれ)が起こした“ゲス不倫騒動”……。
これって、単なる偶然ではないはずーー。そこで本誌は、’83年生まれ、お騒がせ女子多すぎ問題の真相を探った。まず、社会心理学者で新潟青陵大学大学院の碓井真史教授に、この世代の特徴を聞いてみると……。
「’80年代前半生まれは、“個性重視”に教育方針が大きく変わった時代に育ったんです。たとえば、小中学校では『自分の思いを主張すること』に重きを置いたプレゼンの勉強なども始まりました」
’83年といえば、東京ディズニーランドが開園し、ファミコンが発売された年でもある。
「当時は景気もよく、どんどん子どもたちの夢が広がっていくような時代背景がありました。小学生のころに“ディズニーランドに行きたい”“ファミコンが欲しい”といった願いを、親にかなえてもらった人も多かったことでしょう」
思春期を迎えたころには、当時の最新システム「ウィンドウズ95」搭載のパソコンが発売されたことによって、インターネットの普及に弾みもついた。
「個性を尊重した教育を受け、環境も整い、『キミたちには無限の可能性がある』なんて周りから言われながら育ってきたのですが、バブル崩壊後に景気はどんどん下降することに。そして自分たちが社会に出るころ、ちょうど就職氷河期の真っただ中にさしかかるわけです。つまり、幼少のころから言われてきた、自由で個性を尊重する夢のような時代はもうなかった。待っていたのは“夢と現実とのギャップ”。その差が大きかったのが、この世代の特徴です」(碓井教授)
いっぽう、この世代は「直情径行」(自分の感情に赴くままに行動する)だと分析するのは、前出のやくさん。
「人とのコミュニケーションよりも、まず自分を優先する。そして相手とやり取りをするというより、自分を発信することのほうに重きを置くタイプが多いのがこの世代の特徴ではないかと思います。そういう意味で、’83年生まれのお騒がせ女子の中で、いちばんわかりやすい人物は上西小百合議員でしょう。SNSでの自己主張で“炎上”してしまうのも、その典型例といえます」(やくさん)
’83年生まれの中でも、実際にトラブルを起こすのは「成功者たち」だと、やくさんは指摘する。
「就職氷河期も経験したこの世代は、格差がはっきりわかれている。だから、格差社会の中、有名人になった彼女たちは、同世代の中でも成功者なんですよ。“勝ち組”たちは、『人生は己れの天下』と考えるものですから、何をするにせよ己れの思うがまま、向こう見ずに行動するんです」(やくさん)
’83年生まれの有名人に多いのは、不倫問題だけではない。STAP細胞の研究論文に不正疑惑があがった小保方晴子さん(33)も同い年だ。現在33〜34歳のお騒がせ有名人たち。世間的にはいい大人のはずなのだが……。
「30代になってからようやく大人の自覚を持つ人もいれば、まだ自覚を持てない人もいる。かといって、20代の人と同じ行動をすると、世間からは評価されない。“もう30代なんだから”という目で見られます。それでも気持ちは少女の心のままで、まだまだ青年期の感覚を持っている人が多いのかもしれません。自分が起こしてしまった“失敗”のケジメが、自分でつけられないケースも見られますね」(碓井教授)
これまでの常識にとらわれず、結婚しても家庭に縛られたくない、自由で素敵な恋がしたいーー。そして人生何もかもがうまくいけば、こんなに楽しいことはないーー。
いつまでもそんな甘い考えを持っていた“夢子ちゃん”たちが払った代償は、あまりに大きいものだった。