「還暦のおっさんが遊びに遊んで(笑)。堤作品のなかでも、ここまでおふざけをふんだんに入れた映画は、近年めずらしい。登場人物のなかで、唯一まともな人間は僕だけですから」
そう語るのは、俳優の佐藤二朗(47)。日本の秘湯を舞台に、舐めたものの成分を瞬時に解析できる“絶対舌感”を持つ男・朝永蘭丸(向井理)が、行く先々で出くわす事件をその特異な能力で鮮やかに解決。堤幸彦監督が構想20年と長年温めた温泉ギャグミステリーが、正月映画『RANMARU 神の舌を持つ男』(12月3日全国ロードショー)で帰ってくる。
連続ドラマから引き続き、蘭丸の相棒・宮沢寛治役は佐藤。クセのある個性的な人物を演じることの多い彼が、今作では濃すぎるキャラクターをまとめる役どころに。また、もう一人の相棒で、蘭丸を“まるちゃん”と呼び、一方的な愛を注ぐ古物骨董商の女・甕棺墓光(木村文乃)のはじけっぷりは倍増。木村多江、市原隼人、財前直見、黒谷友香などのゲスト出演者も堤ワールドにどっぷり浸かる演技で新たな一面を見せる。
「ここまで全ゲストをおもしろおかしく演出した作品はなかなかないですよ。特に、財前さんは自らセリフを足したりしながら、喜々として演じていましたね。多江ちゃんも隼人くんもはじけてます。要は皆、はじけてます(笑)」
主演を務める向井とは、ハードなスケジュールのなか、撮影後の晩酌のつまみをめぐって交流も深めたとも。
「理はキャンプが好きで、ロケ現場にスモークの機械を持ってきて、ベーコン、チーズ、かまぼことかを燻製したものをみんなに振る舞うんです。撮影が終わるのが明け方ですから、コンビニも開いてない。それをつまみに寝る前にちょっと飲むのが楽しみで。理から『ヤバいです、燻製』って送られてきたメールに、俺が焼酎とタッパーに入った燻製を撮って返信したり。男ふたりで何やってるんだ!?ってね(笑)。あれから、気づくと燻製のものを買うようになって。すっかりお気に入り」