image

人生初の北海道。
襲い来る氷点下、吹雪、積雪…!
道民には当たり前の冬(しかもまだ序の口)!
されどわたしにとっては見たことのない驚異の連続。
そんな「試される大地」とは…!

 

image

人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ…!

 

image

先日、北海道へ初めて降り立った。
東京生まれ東京育ちのわたしは寒いのが苦手な母親に育てられたため、
これまでウィンタースポーツを嗜んだこともない。
冬に雪の多い地方へ行ったこともなかった。
数年に一度、東京は何を間違ったか膝ほどまで積雪することもあるが
すぐに溶けてべちゃべちゃになるため雪は1日だけのイベントに過ぎない。

 

image

そんなわたしにとって北海道へ行くことは、大いなる挑戦だった。

 

今まで全く知らなかったけど、
北海道は日本海側と太平洋側で気候が大きく異なるらしい。
真ん中にある大雪山を隔て、左側は雪が特別多く右側は温度がググッと下がる。
はじめに訪れた道東・阿寒湖では
11月にも関わらず朝夜は-6度まで冷え込んだ。

 

image

水温のほうが暖かいため阿寒湖が湯気立つ神秘的な朝…。
最も寒い2月の平均気温は-8度で、寒い日だと-30度まで下がることもある。
0度と30度を考えると、真冬と真夏の差。
じゃあ-30度とは一体…?
「バナナで釘が打てる世界です。あまり寒いと雪も降らないので、降る日は少し暖かいなと感じるくらいなんですよ」と阿寒湖付近の人は微笑みながら語った。
同じ日本なのに、なんという別世界。
初めて訪れた寒すぎる大地にわたしのカルチャーギャップは止まらない。
凍結した地面に足を突っ込み勢いよくすっ転んだのもいい思い出である。

 

image

そのあと目指した旭川からバスで1時間ほどのところにある「美瑛町」は
十勝岳連峰のふもとにあり標高が高いため雪がことさら多く降る地域。
特に今年は積雪がなぜか例年より1カ月ほど早かったようで
既に一面の銀世界がわたしを待っていた。

 

美瑛町で最も有名な観光スポットのひとつ、「青い池」。
水中に含まれるコロイド粒子という物質が池を青く見せる。夏はこんな感じだ。

 

image

Photo by:写真素材ぱくたそ(www.pakutaso.com) (C)小林央

 

ネットで旭川を調べているとき写真を見て惚れ込み、1日数本しかないバスに乗り込み向かったが
寒さのあまり池の表面が凍り、その上に雪が降り積もって水面が全く見えない始末。

 

image

驚きの白さとはこのことだ。
寒さは「青い池」を「白い池」に変える…!
雪の威力に心がめげそうだったが、わたしには次の目的地があった。
青い池から約3キロメートルのところに位置する「白金温泉」にある「白ひげの滝」。
普段歩くのが得意なわたしは
「バスも次は1時間半後だし、30分の距離なら歩いて行こう☆」と軽く考えていた。
軽率なわたしを待っていたのは吹雪の山である。
道民から言えば「大したことない雪」も、
雪に慣れない非道民からすれば「経験したことのない吹雪」。
車道に沿って歩けばいいため遭難の危機がないのは安心だが、
時折車が横を通るだけで他に何の生命の気配もない。

 

image

圧倒的孤独…!!

 

 

image

雪で一歩一歩が重い。いいスノーブーツを買って本当によかった。
わたし自身にまで雪がつもる。歩けども歩けども真っ白い世界。
「こうなったらふざけるしかない」と思ったわたしは、
『雪と自分』という撮影会を開始する。
鞄の上にスマホを立てて、タイマーを使い激写。

 

image

image

調子に乗って車道の横にある森の中へも潜入。

 

image

image

白い世界をひとりじめする。

寒さはあまり感じない。歩き続けると汗ばむくらいだ。
鼻に入ってくる雪がうっとうしいのを除けば、無敵だった。

 

その後、1時間ほどかけて白金温泉へ到着。
念願の「白ひげの滝」が目前に…!

 

image

白ひげの滝の下は通称「ブルーリバー」と呼ばれる。青い池と同じ成分からなるこの青さ。
そう…!わたしはこの惹きこまれるようなコバルトブルーが見たかったんだ…!
しばらくうっとり眺めたあとは温泉へ。
初の雪降る露天風呂を体験し、体を解凍するしあわせに浸った。

 

温泉から出たら16:43のバスに乗り、無事旭川へ戻る――はずだった。
お風呂上り、しばらく温泉のフロントのおじちゃんと話しているうちに
白ひげの滝と青い池がライトアップを行っていることを知る。
時刻は17:00から。見るためには、乗りたかったバスには乗れない。
次のバスは18:17(最終)…。どうする?見るか?乗るか?
乗ったほうがはるかにスムーズに帰れるが、
「ここまで来てライトアップ見ないなんてありえないんじゃない?綺麗だよ~~!」とおじちゃんに煽りに煽られ、
つい乗らずにはいられなかった。

 

 

image

image

パワースポットと言われているのも頷ける。
神々しいほどの青…。なんてエネルギーだ…!
寒さも忘れ見惚れる。
見ることができてよかった」という思いと同時に、
「こうなったら青い池も見たい」という気持ちが膨れ上がる。
さっき来た道を戻ればいい。
約1時間、歩き続けるだけ。
さっきより雪も弱まってきた。
受付のおじちゃんに「歩いて行けるかな」と聞いてみると、
「行けないことはない」とお墨付きをもらい
わたしはナイトハイクを決意した。

 

いざ、車道へ。

 

image

…行けるかい!!!!!!
うっすら道路が見えるだけで、何の明かりもありゃしない本気の暗闇…。
心がポキッと折れる音がした。どうにもならないこともこの世にはあるんだね…?
わたしは脱兎のごとく逃げ帰り、
再度温泉へ浸かることにした。
青い池のことはもう忘れよう。温泉サイコー!!!

 

北の大地への挑戦。
「北海道は車がなきゃ」という人もいるが、
車がなくても交通公共機関を駆使して
制約のなか楽しむこともできる。
もしも車だったなら、
わたしは雪の中自撮りする楽しさを知らなかっただろう(知らなくてもよかった)。

 

人生ないものねだりではもったいない。
「○○があればなぁ~」を捨てて、
自分の持てるものでどうやって楽しめるかを考える…
それが一番大事だと言うことを、北の大地は教えてくれた。

関連カテゴリー: