元旦を迎えるにあたって欠かせないテーマ「初日の出」。
わざわざ山に登ったり遠くまで見に行ったりする人も多い。
なぜ初日の出はこんなにもありがたいのか…?
まばゆい太陽の光に隠された謎に迫る。
人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ…!
2017年が幕を開けた。
誰もが思い思いにそれぞれの年越しを過ごしたことだろう。
東京・渋谷では道を埋め尽くすほどの人が集まり、大変なことになっていたらしい。
軽はずみな気持ちでいったら圧死するわ…!!
今では元旦だけ特別ダイヤで運行している路線も多く、いつもはお休みの深夜まで賑やかだった。
東京の一部はこんなお祭り騒ぎだったが、
穏やかに新年を迎えた人も多いだろう。
正月らしいことと言えば数多くあるが、そのひとつに「初日の出」がある。
初日の出と一緒に1年を幸福に過ごすための「歳神様」がやってくるという神道の考え方から、
初日の出は尊いものとして遥か昔から親しまれている。
なんなら門松を置くのもしめ縄も鏡餅も歳神様に対するお供え物。
特にお餅は歳神様の魂が宿るとされている尊い食べものだ。
そのおさがりをいただき家長が家族に配ることを「おとしだま」と呼んでいたことから
子供たちの喜び溢れる「お年玉」という文化が生まれたらしい。
もちろん大掃除するのも綺麗な環境で歳神様を迎えるため。
「お正月だから」と何も考えずにやっていた風習も、
全ては歳神様のためだったのだ。なんてことだ…。
「歳神様」は意識せずとも我々のなかにこんなにも根付いている。
そんな歳神様ご降臨の光を見るために、
わたしは朝4時に起きて、5時には街に飛び出した。
冬の早朝は夜のように真っ暗。
当たり前だが「日の出を見る」ということは真っ暗なうちに外へ出るということだ。
山頂で見ようとするなら暗い山道を登らなければならない。
山に登った経験も少ないわたしは「遭難する」と危惧し、山はやめてとりあえず海の方へ向かうことに。
大阪・りんくうタウンに行けば海のそばに「りんくう公園」があるし、
とりあえず海に行けばなんとかなるだろう!という甘い考えの元、地図を見ながら決定した。
6時、りんくうタウンに到着。
まだまだ世界は暗いけど、まるで夜だったさっきとは違いにわかに光が差し始めていることに気付く。
わたしは宵闇のなか、日の出が見られそうな場所を求めて彷徨った。
5分歩いただけで、さっきよりずっと明るい。
空は時間との戦いだった。
さらに、自分が大きなミスを犯していたことに気付く。
「海に行けばなんとかなる」と思っていたが、西向きの海じゃどうにもならない。
陽は東から昇る。
なんて当たり前のことを失念していたんだ…!
「海なら見れる」という日の出初心者丸出しの思いは早々に捨て去り、
なんとか見晴らしのいい場所を探索した。
徐々に徐々に、空が白んでいく…。
幾重にも重なる山々ってなんでこんなに美しいんだろう。
思うような日の出じゃないけど、
新鮮な朝の空気を吸いながら見える景色は目を見張るよう。
ポエムのひとつやふたつブチかましたくなる。
ただ空はどんどん明るくなっていくのに、太陽が見つからない。
月はこんなに綺麗に映っているのに、肝心の太陽は一体どこへ…?
簡単に日の出というけれど
天気・場所・タイミングすべてが大事でどこでも見られるものではない。
偶然見られたときはいいが、見ようとすると難しい。
だからこそ日の出っていうのはありがたいのだ…。
諦めかけたわたしが電車に乗ったときだった。
わたしの目にまばゆい光が飛び込む。
その方角を見ると…
太陽…!!!!
自然界の王者・太陽…。
いつでもそこにあるものだけど
こういう形で出会えるとなんでこんなに胸を打つんだ…。
わたしは電車の中にも関わらず感動のあまりパシャパシャと写真を撮り続けた。
空って…
素晴らしいよね…。
女子がこぞって空の写真をSNSにアップするのもわかるよ。美しいもん…。
他人が撮った空の写真は「ふーん」と思ってしまいがちだが、
いざ自分で撮ると「なんてものを切り取ってしまったんだ」と打ち震え心の中はポエムで満ちるのだ。
他人の空写真を見て「また空か」と思っている人はぜひ自分で空を撮る悦びを知ってほしい。
日を改めて、海の近くを通りかかった午後4時半の出来事。
わたしの前に現れた景色は、わたしの心を奪うのに十分なものだった。
初日の出と一切関係ないが
もう一生抱きしめていきたいような心盗んでく系夕陽だと思える。
太陽への道がずっと続いているみたいに、
海が光を映しているネ…。光が続くその先へ僕ら歩んでいきたいネ…。
こんな景色の中日々生きているんだってことを時々は思い出したいし
さらにはそこで神様が行ったり来たりしてると思うとちょっと楽しい。
2017年もハッピーに過ごせるよう、
傍らにあるものの幸せを噛み締めていきたい。