6月21~24日の4日間、京阪電気鉄道・中之島駅(大阪)にて『中之島駅ホーム酒場2017初夏』というイベントが行われた。
日常的に使う「電車」と、これまた日常的な「酒場」。
どちらも親近感があるけど組み合わせるとこうもイメージが湧かなくなるものだろうか……!
一体何が起きているのか確かめようと、わたしはホーム酒場へ向かった。
人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ……!
現場の中之島駅では開場の17時前から人だかりが出来ている。
ずらり並んだ列には、100人近く集まっている模様。
取材として一足先に会場を見せてもらった。
階段を下った先では、駅員さんのお辞儀を受ける。
「いらっしゃいませ!」
ホームで“いらっしゃい”と言われる日が来るなんて。
めちゃくちゃ不思議な気分だ。
そして現れるホーム酒場……!
参加者は入場料として1,000円を払って100円×10綴りのチケットをもらい、
そのチケットで好きな飲み物や食べ物を購入する。
日本酒やオツなアテを購入できる『中畝酒店&至誠庵』、
おいなりさんで有名な『伏見稲荷 千本いなり』、
ビールも『サントリー』『アサヒ』と完備。
おいしいワイン(『島之内フジマル醸造所』)も取り揃え、車内とホームには全10店舗が軒を連ねた。
電車は7輌編成。
一番端の1号車には、豪華なお弁当付の予約席も用意される。
開場して予約席へ訪れた人に話を聞くと
「前回からのリピーターなんですけど、前回来たときはなかなか席を確保できなかったので、それならと思って予約しました」と語った。
確かに、日頃から電車のシートの心地よさは格別。
わたしは電車に乗って座ればまんまと気持ちよくなってすぐに寝てしまう。
ずっと座ってたくなる魔のシートであるがゆえ、座席は争奪戦だ。
くまなくウロウロした後、わたしは立ち飲み席を占拠した。
眼下にはいなり寿司とラフティ、生樽ワイン。完璧の布陣である。
いなり寿司は鯖・蓮根山椒・わさび・胡麻と4種類全て味が違う。
お出汁が染み渡ったジューシーなおあげが幸福な気分をもたらした。
こってりしたラフティもおいしいし、ワインもあっさりしてて最高。
……。
……さみしい……。
辺りには会社帰りのサラリーマンにOL、ほっこり家族連れや
SNSにアップすべく自撮りにいそしむ女子たちでにぎわっているのに……。
あまりの孤独に耐えかねて車内を徘徊していると、
「ここ空いてますよ!」とシートを詰めてくれる集団がいた。
聞くと電車好きの彼らは、SNSを通じて交流を深め今回もここで集まるに至ったと言う。
「よかったらおでんどうぞ!」
「よければお茶も」
様々な施しを受ける。なんという温かさ……!
一般的なテーブルとイスではない距離の近さだからこそ発生する人々との交流があるのかも。
その時撮った記念写真だが、今見てみればただの混んでる電車内にしか見えない。
なのに実際、ここでお酒を飲んで盛り上がってしまっているのだ。
最高に謎めいててイイ。
時には流しのミュージシャンが来て、リクエストされた曲を歌って盛り上げた。
そんな間にも、隣のホームでは電車が発着する。帰路を急ぐ会社員が見える。
普段当たり前に見る光景が、より「ホーム酒場」の非日常を強めた。
中之島エリアを盛り上げるべくして始まり、今回で3度目となる「ホーム酒場」。
試運転や臨時列車という、特別な時だけ使われるホームがあったため実現した。
ビールも400円から購入できる良心的な値段設定のため、30分も経てば顔が真っ赤な人が続出。
好評だったら次回もあるかもしれないらしい。
ちょっと変わった「非日常」は、きっと思い出に残る特別な時間になる。
『中之島駅ホーム酒場2017 初夏』
6月21~24日、京阪電気鉄道・中之島駅にて開催
京阪電気鉄道の情報は、https://www.keihan.co.jp/