北アフリカに位置しながらも、ヨーロッパやイスラム教の影響を受け独自の世界を形成するモロッコ。
今回はSNS映えの極みとも言えるカラフルさの真骨頂、猫の集う青い町「シャウエン」を訪れた。
人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ……!
モロッコと言われてもあまりイメージが湧かない人も多いかもしれないが、実は女子人気の高い場所である。
急遽モロッコに行くことになり周囲に報告すると、女子たちから次から次へと「羨ましい!」「行きたかった!」「今度行く!」という声が上がった。
片道丸一日かかる遠距離にも関わらず、この人気の高さ。
その理由はおそらくモロッコのカラフルさと表情の豊かさにある。
砂漠、雪山、荒野、いろんな姿を見せる自然。
そして、いろんな文化の間で生まれてきたオリジナルの世界だ。
今回訪れた町「シャウエン」は、モロッコの文化的中心地であるフェズからバスで4時間の場所にある。
フェズーシャウエンは人気がある路線のため夕方発のチケットしか取れず、着いた頃にはすっかり夜10時を回っていた。
しかしバスターミナルの駅舎から青い。
観光地とは往々にして現地に行くと「こんなものか〜」とガッカリすることも多いが、これは「青い町」として名が折れることがなさそうな期待感に胸が膨らむ。
ひとまずタクシーに乗り込み、ご飯を食べるために散策するがとにかく猫が多い。
古い町には猫が棲むと言う。自由気ままに暮らす猫たちに惹かれ、ついつい写真を撮ってしまう。
さらにはわんこまで現れた。
動物たちがのんびり暮らしている姿は、何とも風情がある。
思わずぱしゃぱしゃ撮りたくなってしまう現代人、どうしても歩くのに時間がかかってしまうのがここシャウエンの罠だ。
複雑なせいで迷子になりやすいこの地で、ようやくレストランに辿り着いた。
ゆったりご飯を食べていると思わず来客がある。猫だ。
すごい狙われてる。
しっかり横を陣取られ、気を抜けば手まで出してくる。
ご飯を取られる危機感。これは戦争だ。
総勢6匹ほどの猫たちに囲まれながら、気の休まらない食事を楽しんだ。
朝になると、夜のミステリアスな世界とはまた違う、ポップな町が現れた。
青い理由は「虫除けになるから」「神聖な色だから」と諸説あるものの、今となってはもはや分かっておらず、伝統だけが残っている。
町中で塗料が売られている。
塗り立ての箇所もあるので、油断すると手や服が粉で真っ青になることも。
気が付けばわたしの鼻は真っ青になっていた。
そこらかしこに布や服を売る商人もいる。
もちろん昼間だって猫は自由。
小さい町ゆえに人々の距離が近く、「おう元気か!」などと声を掛け合い過ごす。
わたしは15歳のイケメン少年が切り盛りする店で、地元の老人たちも着る民族衣装「ジュラバ」を購入。
これはもう……異世界の住民なのでは……?
遠い北アフリカ・モロッコの片隅にある青い町で、魔法使いのような服を着ているなんて、あまりに非日常すぎて楽しくなってくる。
町の人たちも嫌がることなく、「ジュラバ!ナイスジュラバ!」と話しかけてくれる。
異世界暮らしも悪くない。
丘の上にまでのぼって、シャウエンを眺めてみた。
上から見ても青い……!
下山しようとすると、新しい仲間に出会った。
猿。
モロッコの少年は猿に植物の種をあげながら、自分でもポリポリ食べる。自然界のフレンズ感がすごい。
モロッコの青い町「シャウエン」。
日本女子がトキめく町が、北アフリカにある。
モロッコの青い町『シャウエン』
モロッコの北東部フェズのバスターミナルから北西部シャウエンのバスターミナルまで、公営長距離バス(CTM)で75ディルハム(約900円)、バスで荷物を預けるのに追加料金で5ディルハム(約60円)