「認知症に対する有効な治療法は残念ながらいまだに確立されていません。しかし、いわゆる老化によって起こる認知症は、アルツハイマー病と血管性認知症が大半を占め、いずれも糖尿病や高血圧などの生活習慣や肥満が、発症に関わることが明らかになっています」
そう語るのは、アンチエイジングの専門家として知られる白澤卓二先生。現在、認知症予防に関して多くの情報があふれているが、実は生活スタイルをちょこっと改善するだけで、効果を生むものも多いという。そこで、1日の生活スケジュールのなかの「夕方から夜」にしぼり、認知症予防につながる改善ポイントを、白澤先生に聞いた。
【“鉄板メニュー”のカレーにはウコン+αをちょいがけ!】
カレー粉の原料としておなじみのウコンに含まれるクルクミンという成分は、アルツハイマー病の予防効果があることがマウスによる実験でわかっている。また、同じウコンに含まれる芳香性ターメロンという物質が、ラットの海馬(脳の記憶をつかさどる部分)の容量を増加させたという実験結果も出ているという。ただし、市販のカレールーに含まれるクルクミンはごくわずか。調理の仕上げにウコンの粉末をプラスしよう。クルクミンは吸収率が悪いので、きな粉(レシチン)やココナツオイルを加えることで吸収を促進させることもポイント。
【家事や育児のストレスはオルゴールの癒しで解消】
ストレスは、脳の血流を減少させ脳の機能を低下させてしまうほか、ストレスによって放出されるホルモンが、脳の神経細胞にダメージを与えることがわかっており、脳の老化と認知症の発症を早めてしまうという。そこでストレス解消におすすめなのが音楽鑑賞。とくに、オルゴールやパイプオルガンなど、古くからの楽器を使った音楽にストレスを軽減させる効果があるといわれている。なかでもオルゴールは、人の耳では聞きとれない音の響きが脳の血流を回復するとして、「オルゴール療法」が期待されているそう。
【1日の終わりには赤ワインがおすすめ】
人間は50歳を過ぎると海馬の機能が低下して、記憶力低下やうつ傾向などを引き起こす。しかし、赤ワインに含まれるレスベラトロールには高齢期の記憶力低下を予防できる可能性があるという!高齢期のラットにレスベラトロールを与えたところ、与えていない群のラットよりも簡単に迷路を抜けることができた、という実験結果が出たというのだ。また、海馬では約2倍の神経細胞が新たに生まれ、血流が確保されていることも明らかに。ただし飲みすぎはアルコールによる脳萎縮を起こすので、要注意。