「犯人の顔を見たときは鳥肌が立ったよ。あいつは去年10月ごろに公園に来た。最初は日中に来て『おじさん、猫かわいいね』なんて言ってたんだけど……」
そう語るのは、千葉県柏市の河川敷にある公園で、猫の餌づけを続けているAさん(73)。昨年12月、餌づけしている1匹の猫が殺され、さらに今年1月下旬までに計5匹が次々に殺された。Aさんは、猫殺しの犯人を捕まえるため、深夜の公園で監視を始めたところ、「懐中電灯を持ったあいつが来たんだ。声をかけると逃げるんだよ」。
深夜の公園で、その男を見たのは1度だけではない。直接、猫の殺害現場を見たわけではなかったが、Aさんは猫の殺害犯として疑っていた。そして、柏市連続通り魔殺人事件の犯人を見て、その男が猫を殺したと確信したという。Aさんが目撃した男は竹井聖寿(せいじゅ)容疑者にほかならなかった。
公園に現れたときも犯行時もジャンパーに帽子姿。公園は竹井容疑者のマンションから約1キロしか離れていない。竹井容疑者は、チャットで自分自身をこう紹介している。
〈うさぎをナイフで刺してサカキバラを尊敬し、真似事で首と腹を刺した事もあります。……それからハムスターを真冬で外に出し、凍死実験やバケツに水を入れてハムスターを泳がせてスタンガンをそのバケツの水に電流を流した際、一瞬にしてハムスターは死んで水に浮いていました〉
「サカキバラ」とは’97年に起きた神戸連続殺傷事件の「酒鬼薔薇聖斗」のこと。彼も殺人前に小動物を虐待していた。動物を殺すことは、尊敬する酒鬼薔薇聖斗に繋がる行為だった。さらに、14歳のときバタフライナイフで友人を刺して少年院に入ったなどと自身のチャットに書き込んでいた。
彼の生活を支えるのは「親の仕送り」。父親は地元で不動産業を営んでいたとみられるが、現在は不明だ。1年前から独り住まいを始めた竹井容疑者だが、もっぱら食事はコンビニ。唯一興味を示していたのがバイクだったという。
「昨年11月にバイク(中古の100CC)を買うと言って、4万円の手付金は払いました。でもその後、残りの金が払えないからキャンセルしてほしいと言ってきたり、また買うと言ったり……。出入り禁止にしたのですが、今年また来て、奇声をあげながら、店員を突き飛ばしたんです」(近所にあるバイクショップ店主)
慣れ親しんだはずの地元でも孤立した生活。いつしか現実と妄想の区別がつかなくなってしまったのか。未成年だった酒鬼薔薇聖斗は医療少年院送致となったが、竹井容疑者には重刑が待っている。
(週間『FLASH』3月25日号)