11月12日、日本記者クラブで小泉純一郎元首相(71)は「原発は今すぐゼロに!」と訴える会見を行った。原発が稼働することで生まれる”核廃棄物”を処理することができないなら、原発を即時ゼロにすべきだ、と主張している。
原発ゼロの運動を続ける作家の鎌田慧さんも、小泉元首相の発言に賛同している。
「2年前の福島第一原発事故のあと、原発のコストが高いということと危険だということがハッキリしました。国民の8割前後が”原発はなくていい”という意見を持ち始めて、もう2年以上がたっています。そんな世論も影響を与えたんだと思います。小泉元首相は『使用済みの核燃料である最終処分ができない、やめようと思えばやめられるんだ』と言っている。原発は即やめようと。全くそのとおりですね」
『よくわかる最新発電・送電の基本と仕組み』(秀和システム刊)の著書があるエネルギー問題に詳しいジャーナリストの木舟辰平さんは、使用済み核燃料・高レベルの放射性廃棄物の問題についてこう話す。
「原発を動かし続けた場合の問題点として、まず挙げられるのが処分場の問題です。原発運転後に発生する高レベルの放射性廃棄物は数万年にわたって人体に有害ですので、地中深くに埋める必要があります」
現在、日本に唯一造られた使用済み核燃料の再処理工場は、青森県六ヶ所村にある。立命館大学国際関係学科の大島堅一教授はこう言う。
「20年前から2兆円以上もかけた施設が今でも試運転状態です。東京ドーム80個分がたまっているといわれ、あと数年で使用済み核燃料の置き場がなくなります。原発はゴミ(放射性廃棄物)の処理ができないのに、ゴミばかり増やしていくゴミ出し工場なのです」
前出の木舟さんは、使用済み核燃料の再処理について、莫大な無駄遣いが行われていると指摘する。
「これまで日本は使用済み核燃料をリサイクルする計画に約10兆円もの巨額な予算をつぎ込みましたが、開発は遅れに遅れ、現時点でも実用化できていません。その間にも原発を動かせば動かすほど、核のゴミは生産され続けるのです」
これまで10兆円使っても解決できなかった核廃棄物の最終処理の問題。原発を稼働させれば、核のゴミは増え続けていく。その最終処理には、さらに数十兆円を費やしても解決できるかどうかは不明だ。その費用を血税で賄うことになれば、原発事業が国民を食い潰すことになりかねないという。