2015年4月8日、福島県双葉郡広野町で、県立ふたば未来学園高等学校が開校。1期生の入学式が行われた。この学園の誕生に尽力し、「前例なき教育改革」で福島を復興させ、日本を変えようとしているのが、小泉進次郎内閣府大臣政務官・復興大臣政務官だ。

 

学園がある双葉郡広野町は、東電福島第1原発から約30キロ。もともと過疎化傾向にあったが、原発事故で拍車がかかり、人口が激減し、農業、漁業も崩壊状態。放射線量が高く、除染の車が行き交う帰還困難地区を多く抱えるだけに、復興には数10年かかる。今までと同じことをしていては、地域も子どもの未来も消滅する。そんな危機感のなか、教育を立て直そうという動きが出てきた。小泉氏もこう語った。

 

「今までの教育は覚えなさい、暗記しなさい、それができればいい学校に入れていい会社に入れて。そうしたら一生安定して暮らせるよ、というもの。これからは、自分の頭で考えて行動して道を切り開いていける人材を、ひとりでも多く生まなくては」

 

従来の方程式が通用しない被災地では、答えの出ない問題が山積していた。求められるのは、問題を直視し、その場に合わせ解決していける能力をもった子どもたち。そうした子どもたちを育てられる、学校だった。

 

実は、あまり知られていないが、学園が開校する前に、小泉氏は、地元の広野中学の子どもたちの前で謝罪している。学園をつくるにあたり、本格的な校舎ができるまでの仮校舎が必要となり、広野中学校を使うことになった。そのため広野中学校は広野小学校に統合され、生徒たちは引っ越しを余儀なくされた。

 

「今日、僕は、みなさんに謝りにきました。今、僕たちは『ふたば未来学園高校』をつくるために力を尽くしていますが、そのために、みんなには引っ越しをしてもらわなくてはならなかった。本当に申し訳ない。だけど、みんながそれを受け入れてくれたことを、僕たちはけっして無駄にはしない。頑張って、必ずみなさんが入学したいと思えるような学校をつくります」

 

その後、生徒たちからは、「小泉さんが謝ってくれて、引っ越ししなくてはいけないことも、私たちの将来の学校を一生懸命につくってくれていることも、よくわかった」など、多くの声が届いたという。

 

4月13日、学園を視察した下村博文文部科学大臣は、「全国の高校のモデルになる目標を掲げている。(学園の)成功は日本全体の教育にも影響する」と、期待を寄せた。

 

「地方創生、日本の再生にも自助と自立は必要です。自分たちの街は自分でつくるんだと。この学校の生徒たちもそういう子どもを育てたい。現状維持っていうのはありえないですね。日本はもう国の形が変わっていますから。やはり原点というのは4年前。日本が、いや世界が歴史上体験したことのなかった地震、津波、原発事故といった複合災害を経験したときにもう変わらないといけないと、みんな思ったんじゃないですか」

 

前例なき環境で生まれた、前例なき教育が、これからの日本を変える日は、そこまできている。

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