「仕事の先輩に『海外ではモテたんだけどな』って愚痴っていたら『じゃあ、世界で婚活してみたら』って言われて」
好きになりすぎて倒れるほど思いつめたのに、日本では彼氏なし。憧れたテレビのAD仕事も、使われるだけ使われて退職。何もかもうまくいかず、希望が持てなかった中村綾花さん(32)は、「その手があるか」と日本を脱出した。
あまりにモテなかったからわかることもあると、彼女は「ラブジャーナリスト」を名乗り、世界の恋人たちへ取材活動を兼ねた”婚活”を開始。そして巡り巡って12カ国――ついに、無職だけど癒されるフランス男性と結婚し、現在はパリで2人で暮らしている。
「不安もあるけど、愛があります。東京ではいつもガツガツして、心はカラカラ。平均的でなければ生きていけない気がしていました。でも、彼と出会って満たされました。私って、こんなにボーッとしていたの? と思うくらい。私の幸せは、彼と一緒に生活すること。お金がないのは不便だけど、不幸じゃない」
とんがっていた大学生時代、ボロ雑巾のAD時代、モテ女を追求した婚活時代の彼女は、どの写真を見ても表情が硬い。
「日本にいたときは、鎧を着た状態でした。日本にいると、自分からそうなってしまうんです。人と違うことではじかれてしまうから。でも、これは(中学時代に)いじめに遭ったことも原因かもしれません」
彼女が発見した「幸せは自分で決める」という金言は、目新しいものではない。しかし、それに気づけないほど、現代日本の若者は将来の不安と不満、閉塞感に苛まれ、横並びを意識しすぎてきゅうきゅうとしているのだろうか。
「日本という島国で生活することで苦しんでいる人に、外の価値観や出来事を伝えたい。そこで何か気づいて、幸せに近づいてもらうために、私は発信しているんだと思います。と、偉そうに言っていますが、正直、仕事がないのが悩みです。今度は生きるための『就活』が、目下のプロジェクトです!」