スマホなどで通話料をかけずに、会話やチャットが楽しめる無料通話アプリ。なかでも、利用者が圧倒的に多いのは、国内の利用者が4千800万人以上に上る無料通話アプリ「LINE(ライン)」。子供たちの間で急速に普及した結果、トラブルやいじめが相次いで起きている。
「今や子供たちの間では、部活動の連絡網はLINEを使っています。LINEにつながっていないと、明日の集合時間もわからない。送られてくるメッセージを読むと『既読』と表示されるため、素早く返信しないと『既読無視』といわれ、学校で無視され、嫌がらせを受けてしまいます。これが、いじめを発生させる原因です」(「全国Webカウンセリング協議会」安川雅史理事長・以下同)
「外し」に遭いたくない一心で、食事中もスマホを手放さなくなり、夜遅くまで友人と「LINE漬け」になる。寝不足からの体調不良で、「やめたい」と思っても、一人だけ抜けられないので依存の状態に陥ってしまうという。
「いじめは目の前に人がいるので、人間の本性としての歯止めがかかることもありますが、スマホの中のいじめは、指一本で操作できるので、感情的になるとブレーキがかからなくなります。また、1対1、グループ内という閉ざされた空間では、いじめそのものが発覚しにくいのです」
LINE株式会社が、「外し」の相手が特定されるなどの対策を講じると、いじめの相談は減少した。だが、それに代わり、むりやり服を脱がされて撮られた写真や動画をLINEの仲間に配られて、笑いものにされたといった被害相談が目立つようになったという。
「ある高校の修学旅行で女子生徒が隠れてたばこを吸っているところを男子生徒に見つかってしまい、『バラされたくなかったら女風呂の写真を撮ってこい』と脅された。隠し撮りした画像はLINE上に出回ってしまい、男子生徒は退学に、女子生徒は不登校になってしまいました」
山陰地方のある中学校では今年初め、男子生徒が女子生徒の顔写真に自分の裸を合成してLINEで公開。女子生徒はショックで一時不登校になってしまったという。
LINEは発信したメッセージは削除できない。一度出回った画像も消すことはできない。ほんのおふざけでも、人生を棒に振ってしまうこともありえるのだ。