「一時は2千億円市場ともいわれたアミノ酸のサプリメントは、原料が“中国人の髪の毛”のものも市場に出回っています。アミノ酸サプリには通常、大豆などが原料に使われます。しかし、原価を安く抑えるために、一部では『人毛』が使われたのです」

 

こう語るのは『サプリメントの正体』(東洋経済新報社刊)の著者・田村忠司さんだ。7年前にサプリメントメーカー、株式会社ヘルシーパスを設立。医師や薬剤師が“信頼できるサプリメントが欲しい”と出資してできた会社だ。田村さんに“危険なサプリ”の実態を聞いた。

 

「サプリメント製造の企画書に『原産地・中国』『原料・人毛』と明記されているケースもあります。髪の毛には水銀やヒ素などの有害重金属が含まれているので、安全面が懸念されます。これらは便や尿のほか、髪の毛からも排出されます。現在、中国は大気汚染や水質汚染が深刻です。そこに暮らす人々の髪の毛を原料にするなら、厳しくチェックされなければ不安です。こうした視点からも、あまりにも安いアミノ酸のサプリは避けたほうがいいと思います」

 

さらに原料の危険性だけでなく、添加物にも注意すべきだという。

 

「実は、サプリメントは栄養素のみで作られているわけではありません。味をつける甘味料、日持ちをよくするための保存料など、さまざまな添加物が使われています。たとえば、アメリカのあるメジャーブランドの『葉酸サプリメント』は、99%以上が添加物でした」

 

肌や髪にいいとされているコラーゲンのサプリの一部にも、「糖化ストレス」という問題があるそうだ。粉末や錠剤ではなく、ゼリーやドリンクの場合は、味を調えるために糖類がたくさん使われていることが多い。

 

「糖類を取りすぎると『糖化ストレス』で血管や細胞を傷つけてしまうことがあります。その結果、肥満や糖尿病、動脈硬化、神経障害など、さまざまな症状を引き起こすこともあります」

 

田村さんが憂慮する“危険なサプリ”は、そんなにも大量に市場に出回っているのだろうか。

 

「現在、日本国内にはサプリメントを作っている工場は4千〜5千カ所あります。しかし、そのうち医薬品レベルに準じた管理基準で製造している工場は120カ所程度と、たった3%だけです」

 

田村さんは、あるサプリメントの生産工場のスタッフとのやりとりを明かしてくれた。

 

「私が『いろいろなサプリをタダで飲めていいですね』というと、工場スタッフは『まさか……。何が入っているのか知っているんですよ。そんなものを飲むわけないじゃないですか』と答えたのです」

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