パワハラや過重労働が横行し、法律違反もおかまいなしの“ブラックパート”が非難の的になっている。まずは、経済ジャーナリストの荻原博子さんが、過酷な条件を避けて、仕事を選ぶ注意点3つを教えてくれた。
【1 大量募集、常時募集は危険】
「新規オープンでもないのに、募集人数が多いのは危険です。雇った人がすぐにやめてしまう離職率の高い職場かもしれません。いつも募集している職場も、定着率が低い、応募者が少ないなど理由があるはず。避けたほうが無難です」
【2 職場の雰囲気を「偵察」】
「お店なら客として行ったり、面接などでも、従業員をよく観察しましょう。楽しそうですか。疲れた表情はありませんか。そこで働くことになったら、あなたもそんな表情になるかもしれません」
【3 面接で質問にきちんと答えない職場は怪しい】
「面接は採用か不採用かを審査されるだけでなく、私たちが職場を選ぶ場でもあります。時給や残業、ノルマなど疑問や不安は、すべて聞くことが大切です。こちらの質問に明確な答えがなく、あいまいに濁す職場は怪しいですね」
次に、早めに対処するために必要な「ブラックパートの見分け方」を、NPO法人労働相談センターで、労働者からの相談に対応している副理事長の矢部明浩さんに聞いた。
【求人募集時とまったく違う条件を提示された】
「募集時と時給などが多少変わることはあります。でも大きく違う場合は、人を集めるために嘘を書いた、嘘つきな会社と疑ってみてください」
【契約内容が実際と違う】
「契約後、時給や仕事内容、就業場所の変更は許されません。労基法(労働基準法)第15条の違反です。違いを明確に示すために、契約書の発行を求めましょう」
【生理休暇が取れない】
「無休であっても、体調が悪いと申告すれば休めます。パートだから休ませないのは、“ブラック”です」
【有給休暇を認めない】
「パートも6カ月以上働けば、有給休暇が発生します。働く日数によって休暇日数は違いますが、要求しても認めないのは労基法39条違反です」
【「辞めたい」のに辞めさせてくれない】
「この相談は毎日くるほど多くて深刻です。給料の前借りを無理強いさせておき『利子をつけて全額返せ』と迫ったり、悪質なケースも多い。ブラックどころか犯罪です」
【急に解雇を言い渡される】
「30日以上前にまでに予告し、正当な理由を示さなければ、解雇できません。解雇理由が『出来が悪い』というなら、会社がどう教育したのかまで示さねば、正当な理由とはいえません」
矢部さんは最後にこう話す。
「パワハラを受けたのではと、少しでも不安があれば一人で抱え込まず、専門家に相談しましょう。追い詰められたのは、あなたのせいではありません」