女性のさらなる社会進出と、平等とはとても言えない待遇の改善を期して「男女雇用機会均等法(以下、均等法)」は施行された。それから30年。この春からは「女性活躍推進法」もスタート。あのころと今、何がどう変わったのか?
「弓のように、しなやかに。この“しなやか”という言葉が好きなんです。仕事の場ではいつも、しなやかであることを意識しています」
そう語るのは女優の真矢ミキさん(52)。理想の上司アンケートのランキングで常に上位に名を連ねる彼女に、同じ時代を歩いてきた均等法元年に入社した第1期生について、さらにはすべての働く女性たちに向けての話を伺った。
「宝塚歌劇団という特殊な世界にいたからか、私はあまり男女の区別をしないんです。だから、均等法と聞くと、なぜ“男女”というふうに分けているのか気になります。均等法が施行された当初は、たしかに男性社会の門戸が、女性に向けて少し広げられたような気がしました。あれから30年。女性が働く環境は改善したところもあったでしょう。でも、女性がしなやかに働けているかというと、反対に凝り固まっているのではと思うこともあるのです」
働く形にばかりこだわると、本質を見失ってしまうと、真矢さんは続ける。
「仕事には、女性が得意とするところと、男性が得意な分野が随所に点在しているはず。それなのに男女がすべて同じことをやろうとすれば、どこかに必ず無理が出てきます。この世の中がまだまだ男性社会であることは否めません。だからといって、そこで生き抜くために、女性が男に、さらにはオッサンにまでならなくてはならないなんて、おかしなことでしょう?」
女性が大切にすべきことは“男気”だという。
「演じればいいんですよ。“男気”をもって演じることで、美しさを醸し出しながら、勇気が持てる。腹を据えながら、柔らかくなれる。そんな女性は、きっとしなやかに振る舞えるはず。男性社会で働くからといって、何も男になる必要はないんです」
そして、最後にこう締めくくってくれた。
「男性社会と闘ったところで、得られるものは何もないでしょう。鎧を着て仕事をするのは苦しいだけ。それより女性ならではの柔軟な発想で、しなやかに立ち回るほうが、多くのことが学べるはずです。そう、これからの働く女性には、より“しなやかさ”が求められている気がします」