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「“コスパが悪い”−−。これは『クリエイティブジャパン』が1,000人に行った『結婚に関するアンケート』で未婚者の『結婚したいとは思わない理由』の回答です。私たちの医療の現場でも、似たようなことが起きています。若い医師や看護師たちが、結婚に対して淡白に捉えている人が増えているような気がします』

 

そう語るのは、順天堂大学医学部教授で自律神経研究の第一人者・小林弘幸先生。このアンケートでは「将来、結婚したいですか?」との質問に、「結婚したい」と答えた未婚者は43.9%。「結婚したいとは思わない」の56.1%に大きく差をつけられている。

 

「若い医師や看護師たちが、結婚に対して淡白に捉えている人が増えている背景には、激務という職場環境もあるでしょう。しかし、結婚生活のトラブルが健康にとってよくない、という学術論文が出ていることも、少なからず影響しているのかもしれません」

 

たとえば、離婚や死別で配偶者を失った場合、脳卒中になるリスクが3割近くも上がるという調査報告もそのひとつ。

 

「国立がん研究センターが、岩手や秋田、茨城、長崎、沖縄など9つのエリアに住む40〜69歳の男女約5万人を15年にわたって追跡調査した結果約5万人のなかで、脳卒中を発症したのは2,134人。その人たちの婚姻状況に変化があったかどうかを調べた結果、離婚した人は、脳卒中を発症するリスクが、男女ともに1.26倍、つまり、3割近くも高くなったというものです」

 

また、デンマークのオーフス大学の研究チームからは、パートナーと死別した人は、その後、1年間にわたり、不整脈のひとつ「心房細動」のリスクが上昇するという報告もあった。

 

「これらの調査結果から想像に難くないのが、ストレスの影響です。脳卒中は、ご承知のとおり、血管が詰まる脳梗塞や、血管が破れて出血する脳出血などいくつかの種類があります。心房細動も、ストレスによる血流の悪化が要因のひとつと考えられています。離婚や、パートナーの死がストレスになり、自律神経のバランスを悪化させているのです。このように結婚生活における問題がフラストレーションになることは明らかです。そのため、現実的に物事を考える若い人たちが、結婚生活は、あまり得ではない、と考えてしまうのかもしれません」

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