「相手の県民性を知ったうえで、話し方を工夫してみると、人間関係もうまくいきます。トラブルの原因にもなりやすい“お金”ですが、私たちは金銭感覚についても、さまざまな設問を設定しました」
そう話すのは、リサーチプロデューサーでディグラム・ラボ代表の木原誠太郎さん。ディグラム・ラボは日本全国約1万人を対象に、アンケート調査を行っている。設問は225にも及び、金銭感覚に関しても《カード払いが多い・現金払いが多い》《ポイントカードを貯めている・ポイントカードを貯めていない》など多岐にわたるが、今回は本誌のために、その調査結果を公開してくれた。
「調査結果を『ディグラム』という心理的手法で分析し、47都道府県別に解釈を施したりもしました。すると、いままでモヤッと感覚的にとらえていた“県民性”をデータにより可視化することができたのです」(木原さん)
アンケートの《「節約」が習慣化しており、ふだんから無意識のうちに節約している》という設問に対して、もっとも「あてはまる」という回答が多かったのが三重県民だった。
「全体の調査結果によれば、三重県の男性は優しくて常識人、人当たりもよいといった傾向がありました。女性は芯が強く、夫への献身度は全国でもトップクラス。周りが『そんなに尽くして大丈夫?』と、心配するほどの献身ぶりですが、半面、気の使いどころも心得ていて、どうすれば相手が喜ぶのかもしっかり探っています」(木原さん)
三重県民は「きちんとしている」「コツコツ積み重ねる」といった気質を持っているというが、、それが“節約好き”という結果に表れたようだ。ちなみに三重県民は「ごみのリサイクル率」でも、毎年30%以上をキープしており、全国でもトップだという。
2位は山形県。’80年代に大ヒットしたNHK朝の連続テレビ小説『おしん』の舞台にもなったように“辛抱強い”人柄を思い浮かべる。『新・出身県でわかる人の性格』(草思社文庫)の著者で出版プロデューサーの岩中祥史さんは次のように語る。
「山形は共働き率が長年、全国1位で、女性は働き者で“おしん”のように我慢強い。お金もコツコツ貯める堅実な面を持つのは昨年、日本銀行が実施した金融リテラシー(金融と経済に関する知識と判断力)についての調査にも表れています。『将来的に増えたお金を選ぶか、少額でもすぐに手にできるお金を選ぶのか』という設問に対して、山形県民は、前者を選んだ人が多かったのです。冒険的な投資よりも、地道に蓄えることを大切にする気質が表れているのでしょう」
そして、最下位は群馬県。実はこの県は、200万人弱という人口に対して前橋競輪場、桐生競艇場、伊勢崎オートレース場と、公営競技場が多く、毎日のように賭けを楽しむこともできる。また江戸時代末期から経済的にも恵まれていたため、とても“節約に励む”といった気分にはならないのかも。
そのいっぽうでディグラム・ラボ調査の《勝負事・賭け事に熱くなりやすい》という設問では全国で19位。“ギャンブル好き”という自覚があまりないのか、それとも“ギャンブルはやるが、それほど熱くならない”ということなのか……。