「シリアという遠い中東の内戦が、私たちの生活に影響しないと考える人もいます。しかしシリアのアサド大統領が『我々は活断層だ。ここが揺れれば全体が揺れる』と言っています」

 

シリアの内戦が日本を含めたアジア全体に余波が広がる可能性を指摘するのは、中東情勢に詳しい、東京外国語大学教授の青山弘之さんだ。同様に、経済評論家の平野和之さんも、危惧している。

 

「原油価格は中東情勢で変動が起きやすい。原油価格の上昇は物価高につながります。ホルムズ海峡など中東からの石油輸送ルートは限られているので、戦争やテロで閉鎖されると、輸送が困難になり、原油価格が高騰します」

 

原油価格は、妥当な数字として1バレル80~90ドルで取引されるところ、現在は105~110ドルで推移。2割ほど高い。「軍事介入の度合いによって、さらに1~2割程度上昇するかもしれません」(平野さん)

 

青山さんは「最悪の場合、“オイルショック”が来る」と断言する。

 

「石油価格が上がれば、価格が上がらない商品はありません。輸入するには物流の輸送コストが必要なため、影響を受けやすい。もちろん農作物、畜産物も上がります。ハウス栽培のボイラー代も上がるし、飼料や種も輸入物が多い。プラスチックやゴムといった石油化学製品が値上がりし、車や電化製品など製造業も打撃を受けます」(平野さん)

 

ただし企業は、原油価格が上がったからといってすぐには値上げができない。利益が減れば、結局我々の賃金はいつまでも上がらなくなる。これでは、アベノミクスで期待していた賃金上昇にも、ブレーキがかかってしまう。

 

「政府は『インフレ』を目標に掲げていました。しかしインフレには、『いいインフレ』と『悪いインフレ』の2種類があります。需要が高まりモノの値段が上がっていくのはよいのですが、『コストプッシュインフレ』といって、原材料費などの値上がりによる物価上昇は、不況を招くリスクがあります」(平野さん)

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