「これからの時代、あなたの娘さんや息子さんが幸せに生きるためには、男女平等の視点が欠かせません。時代は変わったんです」
こう話すのは、しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長の赤石千衣子さん。驚くようなデータがある。今や主婦になること自体が難しい。野村総合研究所「生活者1万人アンケート」によれば、20~40代未婚男性の8割は年収400万円未満。1千万円以上は0.4%にとどまる。
「これから結婚する娘さんが安心して専業主婦になるには、結婚相手の年収はできれば1千万円、少なくとも700万円は欲しいところ。そういう高収入の男性がものすごく少ないことを、お母さん方にお伝えしています」(明石さん・以下同)
たとえ運よく高収入の男性と結婚できたとしても、一生安泰ではない。近年はカップルの3組に1組が離婚しているという現実がある。そして、日本のシングルマザーが置かれた状況は厳しい。
「あるシングルマザーは離婚後、2人のお子さんを育てながら、必死で働いています。中3と高2のお子さんの塾代を払うため、2つの仕事を掛け持ち。昼間は介護関係の会社で働き、夜は居酒屋。朝6時前に起きてお弁当を作り、夜は2時に寝る生活。本当に本当に大変そうです」
寿退社した20年前、こんな生活になることを本人は予想もしなかっただろう。それが「時代は変わった」という赤石さんの冒頭の言葉の言葉につながる。どうしたら、そういうリスクを避けられるのか。赤石さんは、女の子と男の子の育て方について、こんな提案をしてくれた。
「女の子はやはり経済力をつけること。高収入でなくても有名企業でなくてもいいから、長く続けられる仕事につけるよう、応援してあげてほしいです。仮に、結婚生活が破たんしてシングルマザーになっても、仕事を持っているとダメージは格段に少なくてすみます」
男の子はどうだろう。
「男の子には生活力をつけてあげてほしい。これからは結婚相手の女性がずっと働き続ける可能性が高いから、家事や育児ができる男性のほうが絶対にモテます。大学入学や社会人になった際、一人暮らしをすると思います。そのときまでに、ご飯とみそ汁と、ちょっとした炒め物くらい作れるように家庭で教えてあげてほしいです」