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「電力は、住む地域で供給会社が決まるものでしたが、’00年から段階的に自由化が進んでいます。来年4月には、一般の家庭まですべての利用者が、自由に電力会社を選べるようになります」

 

こう言うのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。10月9日には、審査を経た40社が小売電気事業の第1弾として登録された。選択肢は増えるが、得するための注意点は?荻原さんに教えてもらった。

 

「残念ながら、自由化後の料金は来年年明け以降明らかになるので、現時点ではわかりません。ですが、5〜10%は安くなると予想されています。さらに小売事業者の本業を生かして、たとえば、北海道瓦斯(株)は都市ガスと電気、(株)ケイ・オプティコムは通信費と電気、昭和シェル石油(株)はプロパンガスや灯油と電気などといったセット料金、セット割引を検討しています」

 

各家庭で、通信費がかさむなら通信費とのセットや、寒い地方なら灯油代とのセットなどライフスタイルに合わせて上手に選ぶと、よりお得度がアップすると荻原さん。

 

新電力だけでなく、大手電力も顧客を奪われないよう対策を立てている。たとえば、東京電力はソフトバンクと提携し、通信費とのセット料金やTポイントなどのポイントサービスを導入して、関西や中部地域の顧客拡大を目指している。

 

「加えて、(株)エヌパワーのように太陽光や、風力、水力、間伐材などを加工し燃やして発電する木質バイオマスなど、再生可能エネルギーを活用する事業者も増えるでしょう。エネルギーの地産地消を目指すご当地電力も含め、電力の作り方に着目して電力会社を選んでもいいと思います」

 

来年1月には各社の料金プランが発表され、電力会社変更の予約受付も始まるが、焦ることはない。変更は来年4月以降も可能だ。料金もかからない。ただ、選んだ電力会社が倒産したら、わが家だけ停電するのでは?という不安の声も聞こえるが……。

 

「どこで発電された電気もすべて一括され、既存の送電線で運ばれます。また、電力広域的運営推進機関が電力の安定供給を監視し、不足が起こっても電力の融通を指示します。どこの電力会社でも停電の心配はありません」

 

電力小売りの自由化はこれからが本番。

 

「ただ、電気料金が安くなったとしても、節電の意識は忘れないようにご注意ください」

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